東本願寺爆破事件

東本願寺爆破事件

東本願寺爆破事件は、1977年11月2日に京都市下京区の東本願寺で発生した爆弾テロ事件です。新左翼活動家であった加藤三郎によって引き起こされました。

事件の背景

東本願寺を巡る状況

東本願寺は、真宗大谷派の本山であり、その聖地として重要な場所です。しかし、事件当時、真宗大谷派は「お東騒動」と呼ばれる内部抗争を繰り返しており、その様子はマスコミにも大きく取り上げられていました。また、真宗大谷派は北海道開拓に深く関わってきた歴史も持っています。

加藤三郎の動機

加藤は、真宗大谷派が進めてきた北海道開拓を、経済的、文化的な侵略であると捉えていました。彼は「真宗大谷派の現状は、宗祖親鸞の教えに背き腐敗している」と考え、東本願寺の爆破を決意しました。加藤の実家は天理教の教会であり、宗教団体のあり方について強いこだわりを持っていたことも、この決意に影響を与えたと考えられます。

事件の概要

1977年11月2日16時3分、東本願寺の大師堂内で突如爆発が発生しました。爆発により、床板や戸が吹き飛ばされるほどの威力でした。閉館時間後であったにも関わらず、大師堂内には数人の参拝者が残っており、そのうち1人が軽傷を負いました。幸いにも、大師堂の由来となっている親鸞聖人の木像は無傷でした。

現場検証の結果、消火器の破片や塩素酸塩系の異臭が確認され、消火器爆弾による爆破事件と断定されました。事件後、加藤は「世界赤軍日本人部隊・闇の土蜘蛛」名義で犯行声明文をマスコミに郵送しました。声明文には「善人面した大悪党（真宗大谷派）を反日革命戦争の火の海で焼き尽くす」という過激な言葉が記されていました。

加藤三郎の謝罪

刑務所服役後の2005年4月18日、加藤三郎は東本願寺を訪れ、事件について謝罪しました。当時の宗務総長であった熊谷宗恵は、加藤の謝罪を受け入れ、「親鸞は『人は業縁によっては何をしでかすか分からない愚かな存在だ』と述べている」と述べました。そして、「自ら罪を感じ取り、親鸞の御真影の前に身と心を運んできたことは尊いことです」と語りかけました。

事件の意義と影響

東本願寺爆破事件は、新左翼運動の過激化、宗教団体を巡る内部対立、そして北海道開拓問題など、当時の社会が抱えていた様々な問題が複雑に絡み合った事件でした。この事件は、社会に大きな衝撃を与え、新左翼運動の衰退、宗教団体のあり方、日本の近代史における負の側面について、改めて考え直すきっかけとなりました。

参考文献

『京都新聞』1977年11月3日朝刊
加藤三郎『意見書 「大地の豚」からあなたへ』思想の科学社、1992年

関連項目

新左翼
日本原住民論
* 反日亡国論

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