東武デハ5形電車

東武デハ5形電車についての詳細

概要

東武デハ5形電車とは、1927年から1929年にかけて製造された東武鉄道の電車形式の一つである。この形式は、昭和初期における電車の中で最も多く製造された車両の一つとされ、後にモハ3210形への改称が行われた。
東武鉄道では1924年に伊勢崎線の電化が完了して以降、順次電化を進める中で、このデハ5形のような電車の必要性が増した。その結果、1927年から1929年にかけて114両に及ぶ電車が新製された。この新製された電車は、「昭和2年 - 4年系」と呼ばれるグループに分類される。

車両の設計と特徴

デハ5形電車は、製造時期や用途が異なるものの、基本的には全長16,852mm、全幅2,714mmと寸法が統一されている。車体はリベット組立工法と溶接工法によって作られ、半鋼製であるが外観は木造車両を想起させる切り上げ構造となっている点が特徴的である。また、車体塗装は当時の東武の標準である茶色一色が施された。

運転台の配置

この電車は独特な運転台の配置を特徴としており、両端に運転室があるものの、片側は全室式運転台、もう片側は片隅式運転室で構成されている。正運転室側を「正運転室」、片隅式を「副運転室」と呼ぶ。この仕様により、運行効率の向上が図られている。

主機器と性能

デハ5形に搭載されている主機器は、全ての車両において同一であり、イングリッシュ・エレクトリック社製の電動機が採用されている。主制御器には電動カム軸式自動加速制御器が採用され、操作性にも優れている。また、主電動機には高さ97kWを持つイングリッシュ・エレクトリックDK-91が搭載されている。

運用の歴史と変遷

当初、東武鉄道の主要な旅客用車両として長く使用されてきたデハ5形電車は、数回の大改番を受けながらも、1972年まで旅客運用を行った。その後は改造を経て貨物電車として生き残るが、最終的には2004年までに全てが廃車された。

車体の使用状況と改造

デハ5形の運用中には、車体の荷物室やトイレの改装、運転台の再配置が実施され、それぞれの車両が柔軟に対応してきた。このように改造を施された車両は、設備の変化に富み、時代に応じた役割を果たしたのである。

クエ7000形への移行

急速に進む車両の老朽化とともに、東武鉄道は新型車両への更新を進め、1980年代にはデハ5形の中から一部の車両がクエ7000形として再生利用されることとなった。これに伴い、従来のデハ5形は名実ともに消滅した。

結論

東武デハ5形電車は、日本の鉄道史において重要な位置を占める電車であり、長きに渡る活躍とその技術的特徴は、現在も鉄道ファンや歴史愛好者に親しまれている。本形式の詳細な研究は、単に電車の技術を語るだけでなく、鉄道の発展を物語る一つの証でもある。

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