東殿塚古墳

東殿塚古墳について

東殿塚古墳（ひがしとのづかこふん）は、奈良県天理市に位置する古墳時代前期の前方後円墳です。築造時期は、出土した埴輪から4世紀初め頃と推定されています。この古墳は、より大きな西殿塚古墳（234メートル）のすぐ東側に並んでおり、傾斜地に築かれています。主軸は南北に向かい、標高約140メートルの高台に立地するため、墳丘に上がると奈良盆地全体を見渡すことができます。

墳形について

この古墳の墳丘は長さ139メートルであり、後円部は主軸に対して若干の楕円形をしている一方で、前方部は長くなっています。後円部と前方部の比率は1:1.5で、主軸が南北であることを考慮すると、その形状は興味深いものがあります。特に注目すべきは、東西の側面に高低差が見られる点で、後円部の頂上が荒らされ不定形になっている一方、前方部はくびれた部分が平坦で、両端が台形状に高くなっていることです。この台形部には二列の埴輪列や列石が確認されており、墳丘の斜面には円筒埴輪が整然と並べられていたと考えられています。

出土品と祭祀遺構

最近の発掘調査では、前方部西側の特定の地点から祭祀遺構が見つかり、多数の埴輪片が出土しました。その中でも特に注目すべきは、高さ約64センチ、最大口径約50センチの楕円形円筒埴輪です。この埴輪の下部には、3つのヘラ書き船の絵が描かれており、これを1～3号船画と名付けて研究が進められています。1号船画は最も詳細に描かれており、ゴンドラ型で、7本の櫂を持つ14人が漕ぐ大型船と解釈されています。この船は風を帆で受けて海を疾走する様子が描かれており、当時の人々の航海技術が伺えます。

また、前方部西側の台形部からは朝顔型埴輪や円筒埴輪、さらに土器も見つかりました。これらの円筒埴輪の中にはヒレ付きのものもあり、透かし模様が施された個体も確認されています。土器についても、砕かれたものや形を保持している供献土器が多く出土しており、山陰系、近江系、そして東海系など、様々な地域の土器が含まれており、最古式のものと考えられています。

関連事項

東殿塚古墳は、同地域に広がる大和古墳群の一部であり、西殿塚古墳と並んで存在しています。これらの古墳は、古代の人々がどのように死者を弔い、文化を育んできたかを物語っています。現在、これらの遺跡は歴史的な学びの場としても重要視されており、訪れる人々にその魅力を伝えています。

もう一度検索