東海 (航空機)

陸上哨戒機「東海」（Q1W）

陸上哨戒機「東海」（りくじょうしょうかいき「とうかい」）は、日本海軍の第二次世界大戦期において重要な役割を果たした陸上対潜哨戒機である。この機体は、戦争が進むにつれて対潜攻撃の能力が求められていた背景の中で、1942年に開発が始まり、日本で初めての本格的な哨戒機として位置づけられた。実際には153機が生産され、終戦時には68機が残っていたことが特徴である。

開発の経緯

太平洋戦争が激化するにつれ、海軍は敵潜水艦に対する有効な対応策として、長時間の哨戒能力を持つ機体の必要性を感じ、1942年9月に渡辺鉄工所に対して「十七試哨戒機」の開発を命じた。計画には、低速で長時間の飛行が可能であること、そして急降下攻撃ができることが求められた。その後、1943年12月には初号機が完成したが、その設計にはドイツのユンカースJu88のデータが参考にされていた。

テストを経て、ある程度の安定性が求められたものの、機体の改善も行われ、1944年4月には量産が開始された。多くの機体が装備や武装の変更を経て、1945年1月には制式採用が行われ、主力機としての地位を確立した。

また、多様な派生型が開発され、機銃装備の変更や練習機型も存在した。

機体の特徴

「東海」は低馬力でありながら、低速での運用を重視した機体で、巡航速度は約70ノットというものであった。250kgの爆弾を2発搭載可能で、敵潜水艦に対する急降下攻撃を行うことが求められた。特に、広い視界を確保するために機首がガラス張りの特異な形状を持っていたのも、他の機体にはない魅力だった。また、一部機体は独自の航法装置を搭載し、潜水艦探知に役立てていた。

運用状況

最初に「東海」が配備されたのは佐伯海軍航空隊で、1944年10月には初めての部隊が編成された。初めは全機がこの航空隊に配備され、飛行訓練や整備訓練が行われた。その後、他の航空隊へと配備が進み、特に九〇一海軍航空隊に多くの機体が送られた。主に東シナ海などで対潜哨戒活動に従事したが、その運用は困難を伴った。

「東海」は低出力エンジンを採用したため、搭載電子機器の拡張性に欠けるという弱点があり、実際の運用ではより高性能な機体の影響を受けた。このため、運用開始からわずかにして多くの機体が失われるという惨状が続き、戦後には目視捜索などでも活躍したものの、その記録は疑わしいという意見もある。

諸元

「東海」は日本の航空機史における重要な存在として語られており、現在でも艦隊これくしょんなどの作品に登場するなど、その影響が続いている。

まとめ

「東海」は、戦争の激化とともに生まれた日本の陸上対潜哨戒機として、その開発、特性、運用が日本の航空機史において重要な一ページを刻んでいる。

もう一度検索