東渕江村

東渕江村（ひがしふちえむら）

東渕江村は、1889年（明治22年）5月1日から1932年（昭和7年）10月1日まで、東京府南足立郡に存在した村です。現在の東京都足立区の、大谷田、佐野、中川、東和、東綾瀬といった地域にあたります。

概要

村は南足立郡の南東部に位置し、東を中川、南を古隅田川（現在の隅田川）に囲まれていました。江戸時代以前は、これらの河川の自然堤防の背後に広がる湿地帯でした。村役場は、村の中央部に位置する現在の東和五丁目6番付近に置かれ、現在は石碑が建てられています。その向かいには足立消防署大谷田出張所があります。

また、東渕江村役場の建物の一部は払い下げられ、中川三丁目3番地で隅田自治会集会所として、2023年8月現在も利用されています。

地域に関する詳細な情報は「東淵江」の項目を参照してください。

村名の由来

村名は、旧来の「渕江領」に由来します。綾瀬川が開削された後、「新川東」と呼ばれるようになり、そこから「東渕江」という名称になりました。

「渕」と「淵」の表記について

「ふち」の表記には、「渕」と「淵」の二種類が混在しています。公文書や公的機関が発行した地図、歴史文献などでも両方の表記が見られます。足立区立東渕江小学校、東渕江橋、東渕江庭園など、「ひがしふちえ」の名を冠する施設では「渕」の字が使われていますが、文献によっては「淵」と表記されることもあります。この表記の揺れについては、どちらが正しいという厳密な定義はなく、「にっぽん」と「にほん」のように、慣用的にどちらも認められています。ただし、施設名を示す場合は「渕」の表記を用いるのが適切です。これは「渕江村」についても同様です。

歴史

詳細な歴史については、「東淵江」の項目を参照してください。

年表

1889年（明治22年）5月1日：市制町村制の施行により、大谷田村、佐野新田、長右衛門新田、普賢寺村、北三谷村、蒲原村の6か村が合併し、東渕江村が発足。
1932年（昭和7年）10月1日：千住町、西新井町、梅島町、舎人村、渕江村、伊興[[村]]、江北村、綾瀬村、花畑村とともに東京市に編入され、足立区となる。

地域ごとの歴史

大谷田村

1660年（万治3年）：葛西用水が開削され、村内を通る。
1889年（明治22年）5月1日：東渕江村成立により、大字大谷田となる。
1932年（昭和7年）10月1日：足立区成立により、足立区大谷田町となる。
1960年（昭和35年）：一部が大谷田新町1-2丁目、大谷田町1-3丁目となる（住居表示未実施）。
1965年（昭和40年）-1976年（昭和51年）：残る区域は、現在の大谷田、谷中、中川、佐野の一部となる。
大谷田町1-3丁目は、1965年（昭和40年）に現在の中川、東和の一部となる。
大谷田新町は、1965年（昭和40年）-1973年（昭和48年）に現在の大谷田、東和の一部となる。

佐野新田

1593年（文禄2年）：新蔵胤信の開発によって成立。開発者の家名が村名となる。
1889年（明治22年）5月1日：東渕江村成立により、大字佐野新田となる。
1932年（昭和7年）10月1日：足立区成立により、足立区佐野町となる。
1967年（昭和42年）：現在の佐野、大谷田、六木、谷中の一部となる。

長右衛門新田

時期不明（元禄期以前）：浅田長右衛門の開発によって成立。開発者の名が村名となる。
1889年（明治22年）5月1日：東渕江村成立により、大字長右衛門新田となる。
1932年（昭和7年）10月1日：足立区成立により、足立区長門町となる。
1965年（昭和40年）-1973年（昭和48年）：現在の中川、大谷田の一部となる。

普賢寺村

1619年（慶長19年）：新田開発状に「渕江之内ふけんじ、さんや新田開発之事」と見える。
1889年（明治22年）5月1日：東渕江村成立により、大字普賢寺となる。
1932年（昭和7年）10月1日：足立区成立により、足立区普賢寺町となる。
1965年（昭和40年）：現在の綾瀬、東綾瀬の一部となる。

北三谷村

1889年（明治22年）5月1日：東渕江村成立により、大字北三谷となる。
1932年（昭和7年）10月1日：足立区成立により、足立区北三谷町となる。
1960年（昭和35年）：一部が北三谷町1-2丁目となる（住居表示未実施）。
1965年（昭和40年）：現在の東綾瀬、東和の一部となる。

蒲原村

元禄期：元禄郷長に「蒲原新田」が見え、この頃に村が成立したとされる。
1889年（明治22年）5月1日：東渕江村成立により、大字蒲原となる。
1932年（昭和7年）10月1日：足立区成立により、足立区蒲原町となる。
1960年（昭和35年）：一部が蒲原町1-3丁目となる（住居表示未実施）。
1965年（昭和40年）：1-3丁目の区域も含め、現在の東和の一部となる。

脚注

[参考文献]
「佐野新田」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ137足立郡ノ3、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:763997/58。

関連項目

* 東京都の廃止市町[[村]]一覧

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