東西ミステリーベスト100

東西ミステリーベスト100：日本ミステリ史に残る名企画

1985年、週刊文春は画期的な企画を実行しました。それは、推理小説ファン、そして作家たちによる投票で決定される「東西ミステリーベスト100」です。この企画は、単なるランキング発表にとどまらず、日本のミステリ史における重要な出来事として、現在も語り継がれています。

この企画では、推理作家、評論家、そして熱心なミステリ愛好家など、実に約500名もの人々が投票に参加しました。その参加者の顔ぶれは多様で、日本推理作家協会、日本冒険小説協会の会員、各大学のミステリ同好会、さらにはミステリ愛好家の団体であるSRの会、怪の会、そして各界のミステリ通など、まさにミステリ界を代表する人々が名を連ねています。

投票方法は、各参加者がベスト10作品を選び、1位に10点、2位に9点というように順位をつける方式が採用されました。この集計結果に基づき、100作品が選出され、週刊文春1985年8月29日号および9月5日号で発表されました。その後、1986年12月には、文藝春秋より「東西ミステリーベスト100」として文春文庫から書籍化され、多くの読者に親しまれることとなりました。

特筆すべきは、このランキングが単なる国内作品に留まらず、海外作品も網羅している点です。書籍版では、101位から200位までの作品も紹介されており、その幅広さがこの企画の大きな特徴となっています。

そして、2012年、それから27年もの時を経て、この企画は再び脚光を浴びることとなります。週刊文春2013年1月4日臨時増刊号において、リニューアル版「東西ミステリーベスト100」が発表されました。時代を反映した作品や、新たな視点による選出が行われたことは想像に難くありません。

この「東西ミステリーベスト100」は、単なるランキングにとどまらず、日本のミステリ界の潮流を映し出す鏡のような存在です。その選出作品は、日本のミステリ史における重要な作品群として認識され、多くの読者にとって、新たな発見や再発見のきっかけを与えてくれるでしょう。また、企画自体が、ミステリ愛好家たちの情熱と、ミステリというジャンルへの深い愛情を物語っています。

この企画と関連するランキングとしては、週刊文春ミステリーベスト10、このミステリーがすごい!、本格ミステリ・ベスト10、ミステリが読みたい!、そして海外のランキングである史上最高の推理小説100冊（1990年 英国推理作家協会選／1995年 アメリカ探偵作家クラブ選）、文庫翻訳ミステリー・ベスト10（講談社）、黄金の本格（南雲堂）などがあります。これらのランキングと比較検討することで、「東西ミステリーベスト100」の独自性や意義をより深く理解することができるでしょう。

「東西ミステリーベスト100」は、単なるランキングを超えた、日本のミステリ文化を代表する重要な企画と言えるでしょう。その歴史的意義と、時代を超えて愛される作品群は、これからもミステリファンの心を捉え続けることでしょう。

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