東軍流

東軍流（とうぐんりゅう）

東軍流は、川崎鑰之助を開祖とする日本の剣術流派であり、薙刀術や柔術、砲術、馬術、さらには軍学など、多様な技能を学べる流派です。その発展的な背景には、武道の広がりを目指す川崎家の教えが存在します。歴史を遡ると、開祖の川崎鑰之助については多くの謎が残されています。

川崎鑰之助とその学び

川崎鑰之助は、朝倉氏に仕えていた父の影響で鞍馬流を学んだとされ、敵と戦うために必要な剣術や槍術も修得しました。さらに、比叡山の東軍僧正から剣術を教わり、その結果流派名を「東軍流」とするに至ったとするのが一般的な説です。しかし、彼の時代には流派が名乗られていなかったとも言われており、実態は不明な点が多々あります。

川崎宗勝の台頭

東軍流が広く知られるようになったのは、川崎鑰之助の三代後の後継者、川崎宗勝の時代です。彼の剣名が高まったことで、流派も盛況を迎えました。川崎宗勝は回国修行中の際に、武州忍での試合で一人の武士を殺してしまい、敵に襲われ負傷しながらも生き延びます。この出来事を経て、彼の剣名が広まり、忍藩主・阿部忠秋に仕官することになりました。その後、忍藩を辞めて松代藩に仕官します。

川崎宗勝の養子である川崎重勝は、青山宗俊に仕官し、その後の篠山藩を拠点とする剣術師範家として名を馳せました。このように川崎家は、時代を超えた武道教育の担い手となりました。

藩を超えた流派の広がり

江戸時代には、東軍流は全国に広まりました。篠山藩だけでなく、水戸藩、古河藩、松代藩、吉田藩、赤穂藩、岡山藩、鳥取藩、高松藩、中津藩、対馬藩と、多くの藩でその教えが伝承されました。流派は、日本各地での武道の普及に大いに寄与しました。

現在の宗家

現在の東軍流の宗家は17代目に当たる加来耕三（本名：川崎耕一）です。彼は歴史作家としての活動をしながら、流派の伝承にも力を入れています。

光輪洞合気道との関係

光輪洞合気道の開祖である平井稔は、東軍流を岡山県で修得しました。1914年から養父の平井阿闍梨より剣術や体術、組討等を伝授されました。平井氏は、東軍流の柔術について「ぱっとやったら腕が折れる。それが柔である」という強烈な表現を用いて、その特異性を強調しています。

このように、東軍流は日本の武道において重要な役割を果たしており、今日でもその技術を学ぶ人々によって伝えられています。

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