砲術

砲術（ほうじゅつ）

砲術とは、日本の伝統的な射撃術の一つで、火縄銃や大筒、棒火矢を使用します。この技術は、1543年にポルトガルから種子島に伝えられ、その後、独自の発展を遂げました。本項では、日本における砲術の歴史、技術、流派について詳しく述べます。

日本の伝統的な砲術の形成

日本で砲術が広まった年は、天文12年（1543年）です。ポルトガル人が日本に火器を持ち込み、これを通じて砲術が新たに導入されました。伝説によると、ポルトガル人が伝えた砲術は、修得に際して三つの戒律を掲げていました。これらは、心を整えること、体を真っ直ぐに保つこと、そして一つの目を使って的を狙うという内容です。

特に、種子島の武士である篠川小四郞がこの技術を学び、百発百中を達成したと言われています。このように、戦国時代に入ると、砲術家たちが命中率と速射に重点を置き、より効果的な射撃術を編み出しました。

江戸時代に突入すると、日本特有の大筒抱え打ちが加わり、砲術はさらに洗練されていきました。この時代の砲術は、命中を重視しており、射程に応じた標的の狙い方や、射撃姿勢に関する詳細な教本が存在しました。また、射撃時の心構えや呼吸法に関する名言も、多くの人々に伝えられています。

西洋砲術の影響

19世紀に入ると、高島秋帆が西洋の火器用兵術を日本に紹介しました。彼の指導によって、江戸幕府や西南雄藩は西洋の砲術を取り入れるようになり、「高島流砲術」として急速に普及しました。この流派は、従来の砲術とは異なり、集団での運用に重きを置いており、特に「弾幕」を張る戦術が注目されました。集団での行動により、号令に基づいて一糸乱れぬ連携が求められました。

さらに、幕末の動乱や外圧の影響を受けて、砲術も変革を遂げました。多くの流派が西洋の教本を翻訳し、銃器や戦術の進化に対応した教育が行われました。これに伴い、和流砲術は徐々に姿を消し、多くは祭礼行事として後世に受け継がれることになりました。

伝世される流派と技術

日本の砲術には、様々な流派が存在しました。津田流、井上流、田付流など、それぞれの流派には特色とともに独自の技術が伝承されています。特に津田流は、紀州小倉出身の津田監物によって開かれ、弟子たちによる洗練された技術が後世に引き継がれました。

一火流や田付流、さらには井上流のような流派も重要で、それぞれが異なる技術や戦術を持っています。これらはすべて、日本の砲術の進化に大きな影響を与えてきました。また、特筆すべきは、江戸時代に多くの流派が繁栄し、最大400以上の流派が存在していたと言われています。

現代における砲術の位置づけ

明治以降、砲術は武道としての面も持ちながら、祭りや演武の形で残っています。特に第二次世界大戦後、武道としての砲術が認められ、その後の東京オリンピックでは古い伝統が受け継がれた演武が行われました。これにより、砲術は好事家だけのものではなく、広く一般に知られるようになりました。各地には地域振興としての鉄砲隊も設立され、伝統の継承が続けられています。

砲術は、歴史的背景がさまざまな変遷を経て今なお息づいています。火縄銃や大筒の魅力を知り、それにまつわる伝説や技術を理解することは、文化的な価値を認識するための重要な一歩となるでしょう。

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