東部軍管区 (ロシア軍)

東部軍管区の概要

東部軍管区（Восточный военный округ）は、ロシアの東部地域を担当する軍事組織で、主に東シベリアと極東地域に展開している部隊を統合しています。この軍管区の司令部はハバロフスクに位置しており、地理的に広範囲にわたる管轄を有しています。

設立と沿革

東部軍管区は、2008年から2010年にかけての軍事改革の一環として創設され、旧極東軍管区（FEVO）とシベリア軍管区の一部から成り立っています。また、設立時には太平洋艦隊と第11航空・防空軍もその管下にありましたが、2023年以降、これらの艦隊は海軍総司令官の指揮下に置かれました。

この軍管区が括る地域には、ロシア連邦のブリヤート共和国、サハ（ヤクート）共和国、ザバイカル地方、カムチャッカ、ハバロフスク、沿海地方、アムール州、マガダン州、サハリン州、ユダヤ自治州、チュクチ自治管区が含まれています。面積は約700万平方キロメートルにも及び、広大な管轄領域を持つことから、地域の安全保障において重要な役割を果たしています。

軍事演習と国際情勢

この軍管区は、さまざまな重要な軍事演習を実施しています。例えば、2018年には「ボストーク2018」と呼ばれる1981年以来最大規模の演習が行われ、多くの部隊が参加しました。また、2018年には、ロシア連邦の国家防衛管理センターと共に名誉や軍事の栄光を象徴するバナーを受賞しています。

2022年には、ウクライナの情勢が緊迫化する中で、東部軍管区の部隊がベラルーシに移動しました。これにより、第5軍、第29軍、第35軍、第36軍、第68軍団、さらには太平洋艦隊の第155海軍歩兵旅団が派遣され、彼らはウクライナ国境を越えて侵攻を開始しましたが、当初の目的には達せず、戦闘は困難を極めたとの報告もあります。

現在の編制

東部軍管区には、以下のような編成が存在しています：

• - 陸軍

- 第5諸兵科連合軍
- 第29諸兵科連合軍
- 第35諸兵科連合軍
- 第36諸兵科連合軍
- 第68軍団
- 第18機関銃・砲兵師団
- 第39独立自動車化狙撃旅団

• - 航空宇宙軍

- 第11航空・防空軍

これらの部隊は、地域の防衛や国際的な軍事演習において重要な役割を担っています。

歴代司令官

この軍管区は、歴代の司令官によって指導されてきました。主要な司令官は以下の通りです：

• - コンスタンチン・シデンコ海軍大将（2010年10月 - 2013年10月）
• - セルゲイ・スロヴィキン大将（2013年10月 - 2017年11月）
• - アレクサンダー・ズラブリョフ大将（2017年11月 - 2018年11月）
• - ゲンナジー・ジトコ大将（2018年11月 - 2021年11月）
• - アレクサンドル・チャイコ大将（2021年11月 - 2022年10月）
• - ルスタム・ムラドフ大将（2022年10月 - 2023年4月）
• - アンドレイ・クズメンコ大将（2023年4月 - 現在）

このように、東部軍管区はロシアの防衛体制の重要な柱として機能しており、地域の安全保障及び国際的な軍事活動において欠かせない役割を果たしています。

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