東郷茂徳

東郷茂徳 (1882 - 1950)

東郷茂徳（とうごう しげのり、1882年〈明治15年〉1[[2月10日]] - 1950年〈昭和25年〉7月23日）は、日本の外交官、政治家である。彼は主に太平洋戦争開戦時および終戦時に外務大臣として活躍し、東條内閣および鈴木貫太郎内閣で多くの重要な役割を果たした。その業績は日本の外交史に深く刻まれている。

生い立ちと教育

東郷は、現在の日置市東市来町美山で「朴茂徳」として生まれた。祖先は朝鮮人陶工で、薩摩藩に保護された経歴を持つ。明治維新後、彼の家族は「士籍編入之願」を提出したものの却下され、1886年には士族の家禄を購入して「東郷」を名乗った。

教育面では、鹿児島県尋常中学校から第七高等学校に進学し、後に東京帝国大学文科大学に入学。ドイツ文学への素養を深めた。しかし、当初の文学者志望から外交の道へ進んだのは、1912年に外交官及び領事官試験に合格して外務省に入省したことがきっかけだった。

ドイツでの活動

東郷は1919年から1921年にかけて、対独使節団の一員としてドイツに赴任した。第一次世界大戦敗戦後の時期であり、日独関係は比較的安定していた。この時期、彼はドイツ人女性エディ・ド・ラランドと恋仲になり、1922年に結婚した。

1937年から1938年には駐独大使を務めたが、ナチスの台頭に伴う社会情勢の変化に困難な立場に置かれることとなった。特に、彼のドイツ文化への理解とナチス政権への懸念が強まる中、外交政策上の葛藤が生じた。

ソ連との交渉と外務大臣就任

東郷は1938年に駐ソ大使として赴任し、ヴャチェスラフ・モロトフ外相との交渉を通じて日ソ関係の改善に努めた。彼の主導により日ソ中立条約の交渉が進展したが、陸軍の反発から帰国を命じられる。しかし、彼の外交力は高く評価され、外務大臣としての活躍の場が与えられた。

1941年に東條内閣の外務大臣に就任し、アメリカとの交渉を進める中、開戦を回避しようと努力したが、状況は悪化した。特に、ハル・ノートの受け取り後には開戦が避けられないとの判断に至り、日本は真珠湾攻撃を実行することとなった。

終戦への道のり

太平洋戦争の終結が現実的であると認識した東郷は、鈴木貫太郎内閣において再び外務大臣として終戦交渉を行った。彼の提案は、天皇制を護持しつつ早期の講和を目指すものであった。しかし、陸軍との意見の対立や、ソ連を介した外交方針に対する批判が噴出した。

結果的に、ポツダム宣言の受諾に向けた強硬論と和平論の攻防の中、最終的には天皇の意向を受け入れ、東郷は条件付きでの受諾を主導した。この決断により、日本は連合国に降伏することとなる。

戦後と外交官生活の回顧

終戦後、東郷は極東国際軍事裁判の被告として名前が挙げられ、外交官としての責任を問われた。彼は開戦と終戦時の外務大臣として、戦争の責任を自らに背負ったが、戦後に著した『時代の一面』では、国際法の枠組みの重要性を訴え、戦争を防ぐための教訓をまとめた。

東郷茂徳は、67歳でこの世を去るまで、日本の外交において重要な役割を果たしつつも、その最期には自己の責任を認めた。彼の功績と評価は、現在もなお多くの評価が交差する複雑なものである。

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