東金御成街道

東金御成街道（とうがねおなりかいどう）

概要

東金御成街道は、千葉県船橋市本町から東金市田間、山武市小松まで、約37キロメートルをほぼ直線で結ぶ街道です。この街道は、徳川家康が九十九里方面での鷹狩りのために、土井利勝に命じて慶長19年（1614年）から元和元年（1615年）にかけて建設されました。そのため、権現道という別名もあります。

この街道は、驚くべき短期間で建設されたという伝承があり、沿道の農民たちが動員され、「三日三晩で造られた」、「昼夜兼行で一晩で完成した」といった話が残っています。これらの伝承から、提灯街道や一夜街道とも呼ばれるようになりました。

従来は、慶長18年（1614年）に着工し、翌慶長19年（1614年）に完成したとされていましたが、近年の研究では、慶長19年（1614年）正月に着工し、数ヶ月かけて元和元年（1615年）11月に完成したとされています。

東金市田間から山武市小松までの区間は砂押街道とも呼ばれますが、実際には御成街道全体が同時に建設されました。街道沿いには、将軍が休憩や宿泊するための施設として、船橋御殿（現在の船橋東照宮）、千葉御茶屋御殿、千葉御殿、東金御殿（現在の千葉県立東金高等学校）、土気御殿などが設けられました。特に、千葉市内には御殿が2箇所存在していました。

建設についての諸説

東金御成街道の利用開始時期については、複数の説があります。

本保弘文氏によれば、家康が初めてこの街道を利用したのは慶長19年（1614年）正月9日で、その後、秀忠や家光も利用したとされています。

一方、『習志野市史』は、『徳川実紀』に基づき、家康が初めて東金御成街道を利用したのは元和元年（1615年）11月の鷹狩りであると指摘しています。

梁瀬裕一氏の研究では、家康は慶長19年（1614年）にはまだ東金御成街道を利用しておらず、千葉から土気街道を経て大網を通り東金に入ったとされています。家康が初めて東金御成街道を使用したのは元和元年（1615年）以降であるとしています。

九十九里方面での鷹狩りは寛永7年（1630年）を最後に廃止され、寛文11年（1671年）頃には御殿も取り壊されました。しかし、東金御殿と御茶屋御殿は移築されたと伝わる建物が現存しています。

本保弘文氏は、短期間での建設という伝承を支持していますが、習志野市史の記述や梁瀬説に対する具体的な反論はできていません。

将軍の安全のため、東金へのルートは固定されておらず、東金御成街道以外にも東金街道や土気街道などの複数のルートが存在していました。

現在までの道路状況

明治維新後、東金御成街道は各地で分断されましたが、船橋から千葉市稲毛区の陸上自衛隊下志津駐屯地前までは、軍事国道特1号を経て、現在は千葉県道69号線と66号線の一部として残っています。

若葉区若松町付近から再び現れ、総武本線を越え、住宅街を抜け国道51号に接続します。千城台付近では住宅街を通り、「御成台1丁目」交差点を過ぎると道幅が狭くなります。その後、新道が開通していますが、旧道は左折し金親町交差点へと進みます。さらに千葉県道53号と重複し、「御殿入口」で右折して県道66号線に至ります。八街市内の一部は「御成街道跡」として史跡に指定されています。

八街市滝台から東金までの経路は不明ですが、東金市田間から山武市小松までは、千葉県道124号線として現存しています。

関連情報

御成街道
駒形観音堂
八鶴湖
白幡八幡神社

外部リンク

東金御成街道 - ウェイバックマシン（御成街道小史など）
C-PORT 御成街道と沿道の歴史 - ウェイバックマシン
* 千葉古街道歴史散歩 - 千葉国道事務所のページ

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