徳川実紀

御実紀（ごじっき）について

『御実紀』は、一般的には『徳川実紀』という名称で知られる江戸幕府の公式な史書です。この書は19世紀前半に編集され、517巻から成り立っています。その発刊は1844年の初頭に完了しましたが、編纂に至るまでには35年以上の歳月がかかりました。編集の中心的な役割を果たしたのは、林述斎と成島司直の二人です。この本は国史大系にも収められています。しかし、誤って『徳川実記』と呼ばれることもあるため、注意が必要です。

概要

正式には『御実紀』というタイトルを持つこの書は、初期の段階からその命名が決定され、編年体の形式をとっています。内容は、歴代の将軍に関連した記録を整理しており、例えば『東照宮御実紀』や『台徳院殿御実紀』などと呼ばれています。これらは徳川家康から10代将軍の徳川家治までをカバーし、出来事が日付順に記されているのが特徴です。各巻は、将軍在任期間中の出来事をまとめた本編と、逸話を集めた附録に分けられています。

さらに、全体のジャンルに関連した書物には約600年の歴史を持つ和漢の実録が参考にされており、特に日本の古典的な史書と中国の唐代の実録がそのモデルとされています。専門的な文献となるこの書は、日常的な出来事を記録することを中核に据え、その利用に際しては出典に注意が必要です。

編纂の経緯

『御実紀』の編纂は1799年、林述斎の提案から始まりました。1821年には正式に編纂が決定され、編集作業は文人として知られる成島司直が実務を担いました。彼の邸宅が編纂の拠点となり、下級武士を含む多くの編集者たちが团队を組んで作業にあたりました。彼らは、御徒から選ばれた才能ある者たちで、後に名を成す人物が数多く参加しました。

文化6年（1809年）に正式に起稿が始まった本書は、1830年代には急速に編纂が進められましたが、幾度かのトラブルにも見舞われました。たとえば、1843年には司直が予告なしに辞任を命じられるなど、混乱が生じました。正本は1844年の年末に完成し、12代将軍家慶に献上されました。

原典の構成

この書は、成書例を巻頭に掲げた上で、各代の記録と附録を明確に示しています。その框組みには、徳川家康の記録から弟家斉の記録に及ぶまでの詳細なデータが含まれています。『続徳川実紀』もまた編纂されましたが、完全な形での完成には至らず、いくつかの巻に欠落が見られます。正本には467冊の本編が含まれ、その後の副本なども存在し、それぞれ異なる内容や附録を持っています。

参考文献

『徳川実紀索引』や『國史大系』などの文献を通して、この膨大な史書の深い内容に触れることができます。今日、国立国会図書館のデジタルコレクションでも公開されており、研究の礎という位置づけを得ています。

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