東雲大橋

東雲大橋（しののめおおはし）

岐阜県恵那市を流れる木曽川に架かる、岐阜県道72号恵那蛭川東白川線の重要な橋梁です。形式は桁橋であり、地域の交通網において重要な役割を担っています。この橋は、すぐ上流側に位置していた旧東雲橋の老朽化が進んだことに伴い、その機能を代替するために計画・建設されました。県道72号線の道路改良事業である東雲バイパスの一部として整備されたものであり、地域の交通環境の向上を目的に建設が進められました。

この建設事業は、「主要地方道恵那蛭川東白川線東雲工区」として、国の社会資本整備総合交付金などの補助を受け、岐阜県によって推進された大規模な道路改良プロジェクトの一環です。計画段階では、新しい橋として「新東雲橋」という仮称が用いられることもありました。橋梁は木曽川の深い谷を渡るため、川の水面からの高さは約80メートルにも達するという特徴を持っています。このような高所に架かる橋は、建設においても高度な技術が求められます。

東雲大橋の具体的な諸元は以下の通りです。

供用開始日: 2015年（平成27年）8月21日
橋の全長（延長）: 349 メートル
橋の全体の幅員: 9.75 メートル
橋梁部の有効幅員: 9.5 メートル
車線構成: 2車線（片側1車線ずつ）
車道幅員: 各3.0 メートル
歩道構成: 片側のみ歩道設置
歩道幅員: 2.5 メートル
* 橋が結ぶ区間: 岐阜県恵那市大井町丸池 から 同市笠置町毛呂窪 まで

東雲大橋が架かる場所には、古くから木曽川を渡る橋が存在していました。最初の橋は、1909年（明治42年）に開通した木製の吊り橋である初代東雲橋でした。その後、時代を経て交通量の増加などに対応するため、1931年（昭和6年）には2代目となる東雲橋が完成し、これが岐阜県道72号線の一部となりました。

しかし、2代目東雲橋も建設から長い年月が経過し、老朽化が進行したため、新たな橋梁の建設が不可欠となりました。東雲大橋を含む主要地方道恵那蛭川東白川線東雲工区の道路改良事業は、平成13年度（2001年度）に事業が着手されました。この事業全体では、東雲バイパスとして延長約1.4キロメートル区間の整備が行われ、総事業費は約40億円を要しました。そのうち、東雲大橋本体の建設にかかる事業費は約28億円と、全体の費用の多くを占めています。

実際の橋梁本体の工事が開始されたのは、平成19年度（2007年度）のことです。建設地は、老朽化した2代目東雲橋の約200メートルほど下流側の位置が選ばれました。約8年の工期を経て、無事に橋梁は完成し、2015年（平成27年）8月21日に待望の開通を迎えました。この開通により、周辺地域の交通渋滞の緩和や安全性の向上、物流の効率化など、様々な効果が期待されています。特に、国道19号から県道72号線を経由して周辺地域へ向かう際のアクセスが改善され、地域経済や観光の振興にも寄与するものと考えられています。

東雲大橋は、その規模や構造、そして建設に至る経緯において、地域の重要なインフラ整備事業の成果と言えます。木曽川の美しい景観の中、堂々たる姿を見せるこの橋は、日々の生活や産業活動を支えるだけでなく、周辺の自然環境とも調和するような配慮がなされています。地理院地図などの情報源からもその位置を確認することができます。

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