東風フォント

東風フォント（こちフォント）とは

東風フォントは、古川泰之氏が開発したフォントファミリです。2000年11月に公開され、2003年10月21日に開発が終了しました。

開発の背景とフォントの詳細

当時不足していたLinux向けの日本語フリーフォントを補うことが、開発の主な動機でした。フォントファミリには、明朝体の東風明朝フォント（旧watanabe-light）と中ゴシック体の東風ゴシックの2種類が含まれています。

東風明朝フォント: 渡邊フォント、ナガ10、k14、Kappa 20dot Fontsをベースに開発
東風ゴシック: 東風明朝、和田研フォント、東雲フォント、ナガ10をベースに開発

フォントの開発にはTTEditが使用されました。

公開停止の経緯

2003年10月、東風フォントの元となった渡邊フォントが、1980年代に販売された市販フォントであるタイプバンク明朝（日立明朝体）と酷似していることが判明しました。この問題を受けて、東風フォントの公開は停止され、このフォントを搭載していたLinuxディストリビューションなども配布を停止しました。

古川泰之氏と、元となったフォントを開発していたタイプバンクおよび日立製作所との間で協議が行われましたが、ライセンスに関する合意には至らず、開発を終了するという結論に至りました。

著作権に関する議論

タイプフェイスそのものには著作権は存在しないという意見もあります。不正競争防止法におけるデッドコピーの禁止期間は販売開始から3年であり、この条項が制定されたのは1993年であるため、法的な問題はないという見解も存在します。

弁護士であり国立情報学研究所客員教授の岡村久道氏は、「日本の著作権法ではフォントの書体に対する著作権や意匠権は認められない」と指摘し、東風フォントの作者が公開を中止せざるを得なかった状況を憂慮し、公開を継続できる道もあったのではないかと述べています。

後継フォントの登場

東風フォントの公開停止後、和田研フォントを元にした東風フォントの代替フォントが公開されました。このフォントは、Momonga Projectの赤垣氏が開発に着手し、後に狩野宏樹氏が引き継ぎました。その後、「さざなみフォント」と命名され、現在も利用されています。

関連情報

フォント
渡邊フォント
日本語フォントの比較

外部リンク

東風フォント制作活動終了のおしらせ
* タイプフェイス問題についての岡村・堀・中道法律事務所（現 英知法律事務所）川内弁護士の見解

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