和田研フォント

和田研フォント

和田研フォントは、東京大学の和田英一氏らが主宰する「和田研漢字分科会」によって開発・公開されたフォント群です。研究過程で生まれたフォントを公開したことがきっかけで、その名が広く知られるようになりました。

概要

和田研では、フォントの形状を示す線から肉付けを行い、字形を組み合わせることで、アウトライン形式の漢字を半自動で生成する研究が行われていました。その研究成果として公開されたのが、和田研フォントです。

現在公開されているのは、以下の3種類です。

細明朝体: 明朝体
中角ゴシック体: ゴシック体
細丸ゴシック体: 丸ゴシック体

これらのフォントは、肉付けアルゴリズム適用前のデータと、PostScriptファイルへの変換プログラムという形式で公開されています。現在は、和田研のメンバーであった田中哲朗氏によって管理されています。

アルゴリズムとプログラム

フォントの変換プログラムである「和田研フォントキット」は、Lisp処理系の一つであるUtiLispで開発されました。その後、Common Lispに移植された「CLWFK (Common Lisp port of Wadalab Font Kit)」も作成されています。

元の文字となるモールのような形状は「スケルトン」と呼ばれ、複数の属性が付与されます。スケルトンに対して指定された幅で計算を行い、座標を求めます。ストロークの交点や分岐点では特殊な計算処理が実行されます。部首ごとに分かれる場合は、部首単位で作成したストロークを合成する手法が用いられます。

和田研細丸ゴシック / 和田研中丸ゴシック

「和田研細丸ゴシック2004フォント」は、「和田研細丸ゴシック」をベースに、JIS X 0213に含まれる漢字や記号などを追加したOpenTypeフォントです。

現行バージョンでは、TrueTypeベースの「和田研細丸ゴシック2004絵文字」がARIB外字や絵文字を幅広くサポートしており、OpenTypeベースの「和田研細丸ゴシックProN」が全角文字の丸囲み文字の合成に対応しています。特にWindows環境において、全角の丸囲み文字の合成に対応したフォントは非常に少ないため、これらのフォントは貴重な存在です。絵文字サポートフォントとしては、中程度の太さを持つ「和田研中丸ゴシック2004絵文字」も存在します。

過去のバージョンには、「和田研細丸ゴシック2004」や「和田研細丸ゴシック2004ARIB」などがありました。これらのフォントは、細字から中字の太さを取り揃えています。

ライセンス

初期の和田研フォントは、「和田研ライセンス」と呼ばれる独自のライセンスで提供されていました。このライセンスでは、再配布の際に変更箇所とフォントの由来を明記する必要がありました（2009年に一部改正）。

和田研フォントから派生したフォントとしては、「さざなみフォント」（旧東風フォント代用品）や「戸越フォント」などが存在します。中でも、さざなみフォントは、和田研フォントを生成する部品のライセンスを、著作権者の許可を得て修正BSDライセンスに変更しています。

「和田研細丸ゴシック」および「和田研中丸ゴシック」は、和田研ライセンスではなく、パブリックドメインのようなライセンスで提供されています。

参考文献

(情報が提供されていません)

関連項目

日本語フォントの比較
さざなみフォント
和田英一
JIS X 0213
ARIB外字
KAGE System

外部リンク

和田研細丸ゴシック2004フォントの公開: JIS2004やARIB外字などに対応したフォント（和田研細丸/中丸ゴシック2004絵文字、和田研細丸ゴシックProNなど）のダウンロードが可能です。
Wadalab Font
* 和田研フォントキットの暫定的な Wiki サイト

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