東香寺

東香寺（とうこうじ）は、岐阜県加茂郡富加町にある臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を老梅山と称し、中濃八十八ヶ所霊場の五十六番札所として、地域の人々に親しまれています。

歴史

東香寺は、正和4年（1315年）に、土岐氏の嫡男であった土岐頼遠（ときよりとお）が、夢窓疎石（むそうそせき）を開山として招き、臨済宗南禅寺派の寺院として建立したと伝えられています。創建当初は南禅寺派に属していましたが、後に妙心寺派へと改宗しました。

土岐頼遠は、後に光厳上皇（こうごんじょうこう）への狼藉の罪により自害に追いやられます。その菩提を弔うために五輪塔が築かれました。この五輪塔は、富加町の文化財に指定されており、現在もその姿を見ることができます。土岐氏の悲劇と、それに対する供養の思いが、この五輪塔に込められています。

また、東香寺の庭園は、夢窓疎石の手による作庭と伝えられており、富加町の名勝に指定されています。夢窓疎石は、作庭家としても知られ、全国各地に美しい庭園を残しています。東香寺の庭園も、その一つであり、訪れる人々に癒しと安らぎを与えてくれます。

境内には、夢窓疎石の供養塔と伝えられる無縫塔（むほうとう）や、後醍醐天皇（ごだいごてんのう）の供養のために造られたとされる宝篋印塔（ほうきょういんとう）があります。これらは、岐阜県の文化財に指定されています。無縫塔と宝篋印塔には、紀年銘がなく、鎌倉時代から室町時代に建てられたということ以外は、詳しいことは分かっていません。歴史のロマンを感じさせるこれらの塔は、訪れる人々を魅了しています。

寛文11年（1671年）に、金嶺祖牛（きんれいそぎゅう）によって妙心寺派の寺院となり、現在に至っています。創建から数百年を経た今も、東香寺は地域の人々の心の拠り所として、その歴史と文化を伝えています。

文化財

五輪塔（富加町指定文化財）
庭園（富加町指定名勝）
無縫塔（岐阜県指定文化財）
宝篋印塔（岐阜県指定文化財）

東香寺は、歴史と文化が豊かな寺院であり、訪れる人々に多くの感動を与えてくれるでしょう。静寂な境内で、歴史を感じながら、心静かに過ごしてみてはいかがでしょうか。

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