杵屋六左衛門 (14代目)

十四代目 杵屋 六左衛門の生涯

十四代目 杵屋 六左衛門（じゅうよだいめ きねや ろくざえもん）は、1900年10月6日に東京都中央区日本橋で誕生しました。本名は杵屋 安彦（きねや やすひこ）で、彼の出生は江戸長唄の伝統を受け継ぐ家系に由来していました。父である十三代目杵屋六左衛門（寒玉）から音楽の基礎を学び、彼はその後近代長唄の発展に寄与した重要な人物となります。

音楽の道への転向

六左衛門は1911年に十四代目杵屋喜三郎を襲名し、1916年には十四代目杵屋六左衛門を名乗ることになります。彼の一大転機は唄方として活動することを決意したことにあります。これにより、彼は四代目吉住小三郎（慈恭）に師事し、唄方としての技術を磨いていきました。

業績と影響

1927年には帝国劇場の邦楽部長に就任し、1931年までその任にありました。また1944年には旧制東京音楽学校の教授としても彼の知識と技術を後進に伝えました。翌年1945年からは長唄協会の会長に就任し、その後名誉会長にまで昇進しました。彼が作曲した楽曲には『大江山酒呑童子』や『母を恋ふるの記』、そして映画『楢山節考』の音楽も含まれ、全体で400曲以上にのぼります。

受賞歴

数々の受賞歴も彼の業績を証明しています。1956年には文部大臣賞、1957年には第10回毎日演劇賞音楽賞を受賞。特に『東をどり「母を恋ふる記」』の作曲で評価され、1958年には第13回毎日映画コンクール音楽賞を受賞しました。さらに1961年には日本芸術院賞、1966年には日本芸術院会員に選ばれ、1974年には人間国宝として認定されました。

晩年と遺産

1974年の認定後も、彼は新橋芸妓組合の長唄の師匠として活動し続け、新作舞踊の作曲などにも関わっていました。彼の教育と指導の影響は、彼の子息である十五代目杵屋喜三郎や次女である十五代目杵屋六左衛門にもしっかりと受け継がれています。

1981年8月23日、彼は80歳でその生涯を閉じましたが、その足跡は今もなお多くの音楽愛好者や後進の演奏者に尊敬され、影響を与え続けています。彼の作品や教育の成果は江戸長唄の伝統を守り、未来へと繋ぐ重要な役割を果たしているのです。

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