杵屋栄蔵

杵屋栄蔵の名跡と歴史

杵屋栄蔵（きねや えいぞう）は、日本の長唄三味線方における重要な名跡であり、特に三代目が広く知られています。その名跡は、一族の人々によって受け継がれ、三代目以降は杵栄派の家元としての役割を担ってきました。

初代と二代目の業績

初代杵屋栄蔵は、後に三代目杵屋勘五郎と名乗った人物です。彼の後を継いだ二代目は、後に五代目杵屋勘五郎に名を改めています。このように、杵屋栄蔵家系の名称は、代々の重要な演奏家たちによって引き継がれてきました。

三代目の生涯と Contributions

三代目杵屋栄蔵（1890年11月15日 - 1967年11月26日）は、元々は小田裕康という本名を持つ東京出身の芸術家です。彼は六代目芳村伊十郎の養子として育ちました。1901年に五代目杵屋勘五郎の門に入門し、その後初代杵屋栄次郎の名を名乗ります。1905年には三代目栄蔵を襲名し、以降の活動で多くの伝統を築きました。

杵屋栄蔵は、特に1925年に設立した杵栄派が有名であり、また1935年には芳村派の家元にもなりました。彼は日本邦楽学校を1932年に創立し、邦楽の普及と発展に寄与しました。加えて、彼は九代目芳村伊三郎や五代目大薩摩文太夫の名も名乗り、古典の復活や研究、そして伝承に尽力しました。さらに、多くの著作を残しており、彼の音楽理論は後の世代に大きな影響を与えました。

役職と作曲活動

三代目は、数多くの重要な役職を歴任しています。例えば、左團次一座や市川猿之助劇団の邦楽部長を務め、松竹邦楽の顧問で、長唄協会の会長にも就任するなど、彼の影響力は非常に大きなものでした。彼は長唄の作曲も手がけており、「お七吉三」や「雪女郎」といった名曲を生み出しています。

受賞歴

その功績によって、三代目杵屋栄蔵は1955年に勲三等を受章し、1956年には日本芸術院賞も受賞しました。彼の業績は、邦楽の発展に大きく寄与したことを示しており、多くの愛好家に支持されてきました。

家族と四代目の受け継ぎ

三代目杵屋栄蔵の実子である四代目（1917年10月17日 - 1988年6月20日、本名：小田貞夫）は、父親の業績を受け継ぎ、1959年に五代目杵屋正次郎を経て1968年に四代目栄蔵を襲名しました。また、女婿は八代目芳村伊十郎で、彼自身も薩摩文五郎や大薩摩初音太夫林鷲、大薩摩文暁などの名を名乗っています。

これらの要素は、杵屋栄蔵という名跡がただの名ではなく、豊かな歴史と文化を持つ重要な存在であることを教えてくれます。

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