松ヶ崎横穴墓群

松ヶ崎横穴墓群の詳細

松ヶ崎横穴墓群（まつがさきよこあなぼぐん）は、神奈川県横浜市港南区港南台9丁目に位置する遺跡で、古墳時代から奈良時代初期にかけて形成された横穴墓の群集です。この遺跡は、港南台遺跡群および㹨川流域横穴墓群の一部として注目されています。また、横浜市に登録された地域史跡としても認識されています。

立地と環境

松ヶ崎横穴墓群は、神奈川県立横浜明朋高等学校の南側にある山の斜面に位置しており、港南区に属しながらも、栄区との境に近い位置にあります。特に、㹨川の谷を下った場所に立地しているため、地理的にはほぼ栄区に近いとも言えます。

この墓群は、かつて港南台遺跡群として同類と見なされ、元々は8基の横穴墓が存在したとされていますが、現在は雑木林に覆われ、草木や土に埋もれてしまっています。そのため、横穴の入り口がわずかに確認できる程度で、残されたのは2〜3基に限られています。

遺構と特徴

墓群の特徴として、羨道（入口）部分の奥には、死者が安置される「玄室」が存在します。この玄室は、細長い台形の床面をもつ独特の形状と、蒲鉾形状の天井が特徴です。加えて、奥の壁には「棺室」と呼ばれる小部屋が掘られており、ここでは棺が置かれていたことが伺えます。これらの特徴は、「鎌倉型横穴墓」または「鍛冶ヶ谷式横穴墓」と呼ばれるデザインに分類されます。

2015年11月13日には、横浜市から地域文化財としての登録を受けたことから、その重要性が広く認識されることとなりました。これは、地域の歴史や文化を理解する上で重要な資料と位置づけられています。

参考文献と研究

松ヶ崎横穴墓群に関する詳細な情報は、様々な文献に記録されています。特に注目すべきは、鵠沼女子高等学校地歴研究部による1964年の『横浜市戸塚区㹨川流域の横穴群について』、神奈川県教育庁社会教育部文化財保護課が発行した1976年の調査報告書、『港南の歴史』などです。これらの文献は、遺跡の理解を深めるために貴重な情報源となっています。

このように、松ヶ崎横穴墓群は神奈川県における古代の歴史を知る上で欠かせない遺跡であり、地域の文化財としての役割を果たしています。現地ではその重要性を担保しつつ、適切な保存活動が期待されています。

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