松下一

松下一（まつした ひとし / はじめ、1904年9月 - 1986年4月12日）は、日本の内務官僚、警察官僚であり、最後の官選愛媛県知事として知られています。彼の生涯は、激動の昭和初期から戦後にかけての日本の地方行政史を映し出しています。

生い立ちと学歴

松下一は大阪府に生まれました。旧制第一高等学校を経て、1928年に東京帝国大学法学部法律学科を卒業。高等試験行政科試験に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。当時のエリート官僚養成コースを歩み、内務省に入省しました。

官僚としてのキャリア

内務省入省後、松下一は長崎県属を皮切りに、各地で警察官僚、地方官僚として経験を積みました。長崎県警部、福島県事務官、滋賀県警察部警視、和歌山県警察部警視などを歴任し、警察行政の中核を担いました。

その後、千葉県警察部特別高等課長、兵庫県警察部特別高等課長など、治安維持の重要なポストを歴任。戦時体制下では、栃木県書記官学務部長、青森県書記官・警察部長、福岡県内務部長といった地方行政の要職を担いました。これらの経歴から、松下一が警察行政、地方行政の両面で幅広い経験を有していたことがわかります。

愛媛県知事時代

1947年3月、松下一は愛媛県知事に任命されました。これは、前任の青木重臣が知事選出馬のため辞任したことに伴うものでした。しかし、知事としての在任期間は短く、知事選挙を執行後、同年4月に退任しました。その後、公職追放となり、官僚としてのキャリアを終えました。愛媛県知事としての在任期間はごくわずかでしたが、戦後初の知事選挙という歴史的な局面に関わった人物として、その名は記録されています。

人物像

松下一は、内務官僚として地方行政に携わる中で、戦前・戦中の激動期を生き抜きました。そのキャリアは、当時の日本の官僚制度と地方行政の実態を理解する上で貴重な手がかりとなります。知事としての短い在任期間と公職追放という結末は、戦後の混乱期における官僚の運命を象徴しているとも言えるでしょう。

まとめ

松下一は、内務・警察官僚として、日本の地方行政に深く関わった人物です。各地の警察部門や地方庁で要職を歴任し、愛媛県知事を務めた後、公職追放となりました。彼の生涯は、戦前・戦後の日本の官僚制度と地方行政の変遷を物語る重要な一例と言えるでしょう。

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