松久淳

松久淳

松久淳（まつひさ あつし、1968年12月23日 - ）は、日本の作家。東京都葛飾区に生まれ、上智大学文学部新聞学科を卒業後、月刊誌の編集者としてキャリアをスタートさせました。その後、フリーランスの編集者・ライターとして独立し、書籍だけでなく、雑誌の特集やムック、映画パンフレットなど、幅広い分野で活躍しています。

経歴と作風

1999年にエッセイ『男の出産』で単行本デビュー。2000年に発表した小説『天国の本屋』は、当初は注目されなかったものの、岩手県盛岡市の書店員がその魅力に気づき、独自に宣伝したことで口コミが広がり、ロングセラーとなりました。この作品は、松久氏の代表作として広く知られています。

松久氏は、「松久淳＋田中渉」という筆名でコンビ作家としても活動しており、『天国の本屋』シリーズをはじめとする作品を発表しています。また、サタミシュウ名義での著作もあり、多様なジャンルに挑戦しています。

2010年には、第13回みうらじゅん賞を受賞。みうらじゅん氏の語り下ろし本の執筆も多数手がけており、親交の深さが伺えます。

松久氏の作品は、ユーモアに溢れ、人間観察の視点が鋭いことで知られています。日常の些細な出来事や感情を丁寧に描き出し、読者の共感を呼ぶ作風が特徴です。

主な作品

「松久淳」名義

男の出産（1999年）
愛があるから大丈夫（2003年）
ヤング晩年（2003年）
愛の教訓（2004年）
マリコはたいへん!（2006年）
彼女が望むものを与えよ（2007年、後にサタミシュウ名義で文庫化）
どうでもいい歌（2010年）
中級作家入門（2014年）
もういっかい彼女（2016年）
猫の話をそのうちに（2017年）
走る奴なんて馬鹿だと思ってた（2019年）

「松久淳＋田中渉」名義

天国の本屋（2000年）
天国の本屋 うつしいろのゆめ（2002年）
天国の本屋 恋火（2002年）
プール（2002年）
四月ばーか（2003年）
白いお別れ（2003年、文庫化時に「ホワイトグッドバイ」から改題）
ラブコメ（2004年）
ウォーターマン（2005年）
ストーリー&テリング（2006年）
ラブかストーリー（2007年）
あの夏を泳ぐ 天国の本屋（2008年）
ふしぎ自転車チャリィ（2008年）
かみつき（2014年）
麻布ハレー（2017年）
きっと嫌われてしまうのに（2017年）

「サタミシュウ」名義

私の奴隷になりなさい（2005年、文庫化時に「スモールワールド」から改題）
ご主人様と呼ばせてください（2005年、文庫化時に「リモート」から改題）
おまえ次第（2008年）
はやくいって（2009年）
恋するおもちゃ（2011年）
彼女はいいなり（2012年）
かわいい躾（2012年）
SでもMでもなくこれは恋とか愛（2014年）
私はただセックスをしてきただけ（2015年）
彼女が望むものを与えよ（2018年、松久淳名義の作品を改名し文庫化）

人物像

好きな作家として野坂昭如と筒井康隆を、影響を受けた作家として永倉万治と景山民夫を挙げています。海外の作家では、ニール・サイモンとレイモンド・チャンドラーを好んでいます。音楽の趣味も幅広く、ムーンライダーズ、高橋幸宏、バート・バカラックなどを愛聴。特に尊敬する人物として広川太一郎の名前を挙げており、映画評を多く手がける中で、洋画吹替やヒュー・グラント主演のラブコメ映画を得意ジャンルとしています。

とり・みきの漫画『御題頂戴』に「軟体人間・松久淳」としてキャラクターが登場していることからも、そのユニークな人柄が伺えます。

40歳の頃に鬱状態を経験したものの、みうらじゅんの言葉に勇気づけられ、立ち直ったというエピソードも持っています。

映像化作品

天国の本屋〜恋火（2004年）
ラブコメ（2010年）
私の奴隷になりなさい（2012年）
ご主人様と呼ばせてください　私の奴隷になりなさい・第２章（2018年）
* おまえ次第　私の奴隷になりなさい・第３章（2018年)

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