松井正文

松井正文氏は、日本の動物学者として、特に両生類の研究において顕著な業績を残しています。1950年、長野県上田市に生まれ、信州大学繊維学部を卒業後、京都大学大学院に進学。理学研究科博士課程を中退後、京都大学教養部の助手となり、研究者としてのキャリアをスタートさせました。

1984年には理学博士号を取得。その後、京都大学教養部助教授、大学院人間・環境学研究科助教授を経て、1998年に同研究科の教授に就任しました。2000年には、その長年の研究成果が認められ、日本動物学会賞を受賞しています。2015年に京都大学名誉教授となりました。

松井氏の研究は、両生類の分類、生態、進化に及び、フィールドワークと分子生物学的手法を組み合わせた研究は、国内外で高く評価されています。特に、日本産カエルの分類学的研究は、その後の両生類研究の基礎を築いたと言えるでしょう。また、外来種問題にも積極的に取り組み、その著書を通じて、生態系保全の重要性を広く社会に訴えています。

日本爬虫両棲類学会会長を歴任するなど、学会活動にも積極的に参加し、後進の育成にも尽力しました。松井氏の指導を受けた研究者は数多く、日本の両生類研究を牽引する存在となっています。

主な著書には、『両生類の進化』（東京大学出版会）、『カエル : 水辺の隣人』（中公新書）、『外来生物クライシス：皇居の池もウシガエルだらけ』（小学館101新書）、『日本のカエル：分類と生活史〜全種の生態、卵、オタマジャクシ』（誠文堂新光社）などがあります。これらの著書は、専門家だけでなく、一般の読者にもわかりやすく書かれており、両生類に対する理解を深める上で貴重な資料となっています。

松井正文氏は、研究者としてだけでなく、教育者、そして社会への貢献者として、多岐にわたる活動を通じて、日本の動物学、特に両生類研究の発展に大きく貢献した人物と言えるでしょう。

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