繊維学

繊維学

繊維学は、繊維を主な対象として研究する学問分野です。テキスタイルサイエンス、ファイバーサイエンス、ファブリックサイエンスなどとも呼ばれます。

概要

繊維学は、蚕糸研究や繊維工業を背景に発展してきました。工学、生物学、化学、化学工学、物理学、感性工学、統計学など、幅広い分野を基礎としています。さらに、テキスタイルデザインやファッションデザインといった芸術分野、ブランディングやマネジメントなどの経営戦略分野も包含する、学際的な性格を持つことが特徴です。

繊維に関する工学分野は、特に繊維工学と呼ばれます。化学を基盤とする場合は、染色化学や繊維化学といった分野があり、これらを総称してテキスタイルケミストリーと呼ばれることもあります。

繊維学教育機関

日本では、繊維工業の衰退に伴い、繊維に特化した研究は縮小傾向にあります。しかし、海外ではスマートテキスタイル、メディカルテキスタイル、サステイナブルテキスタイルといった新たな分野を中心に、繊維研究への注目が集まっています。

日本

かつて、日本の大学や工業高等学校には、繊維学部や繊維工学科、繊維科といった学科が多数存在しました。しかし、名称変更などにより、繊維という名称を冠する学部や学科は徐々に姿を消し、2016年現在、繊維学部を擁するのは信州大学のみとなっています。

東京農工大学や京都工芸繊維大学にも繊維学部がありましたが、東京農工大学は1962年に工学部に改組、京都工芸繊維大学も2006年に工芸学部と繊維学部を統合し、工芸科学部となりました。

山形大学、群馬大学、福井大学、岐阜大学の工学部には繊維工学科が、福井大学工学部には繊維染料学科がありましたが、学科再編により、繊維工学科は高分子工学系の学科に、繊維染料学科は生物応用化学科へと改組されました。

欧米

欧米では、繊維学の研究は依然として盛んです。例えば、イギリスのマンチェスター大学やアメリカのノースカロライナ州立大学は、テキスタイルエンジニアリング（繊維工学）だけでなく、デザインや芸術など幅広い分野で修士号や博士号を授与しています。

フランスのENSAITやITECH、ドイツのマンハイム工科大学、ベルギーのゲント大学などでも同様の教育課程が提供されており、繊維学は海外において、一般的な学術領域として認知され続けています。

外部リンク

繊維学会
信州大学繊維学部 / 大学院総合理工学研究科繊維学専攻

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