松前安広

松前安広：仙台松前氏の祖、その生涯と系譜

松前安広（まつまえ やすひろ）は、江戸時代前期に活躍した人物で、仙台松前氏（仙台藩準一家・松川松前氏）の初代当主として知られています。彼は、仙台藩主・伊達吉村の外曾祖父にあたります。

生涯

慶長11年（1606年）、松前藩初代藩主・松前慶広の七男として誕生しました。幼名は石丸と称しました。

元和9年（1623年）、安広は仙台藩主・伊達政宗にその才能を認められ、招聘を受けて仙台藩に仕えることになります。栗原郡清水沢と江刺郡小田代に所領を与えられ、合計1,000石を拝領しました。この功績により、後に準一家という高い家格を与えられることになりました。これが仙台松前家の始まりです。

寛永6年（1629年）4月、政宗の勧めにより、白石城主・片倉重長の娘である喜佐を正室に迎えました。この婚姻以降、松前氏は天和2年（1682年）まで、自身の所領内ではなく、岳父・重長の所領である刈田郡長袋に居館を構えました。

明暦2年（1656年）3月、安広は家督を次男・広国に譲り、隠居生活に入ります。仙台藩に出仕する以前に松前藩から与えられていた知行地は、隠居後も引き続き安広の所有となっていましたが、これを機に松前藩に返還しました。

寛文8年（1668年）7月8日、安広は63歳でその生涯を閉じました。

系譜

父：松前慶広（1548-1616）
母：斎藤実繁の娘
正室：喜佐 - 片倉重長の長女
長男：片倉景長（1630-1681） - 片倉重長の養子
次男：松前広国（1631-1682）
生母不明の子女
長女：長 - 古内義如室
次女：夏 - 片平清重室
三女：鶴 - 氏家清継室
四女：六 - 伊東重定室
三男：片倉吉長 - 片倉重長の養子
四男：古内義憲 - 古内義如の養子
五男：松前為広 - 松前広国の養子


松前安広は、松前氏の一族として生まれながらも、伊達政宗に見出され仙台藩に仕え、その家系を仙台の地で繁栄させました。彼の生涯は、武士としての忠義と、家を守り発展させるという強い意志を示すものと言えるでしょう。

参考文献

『角田市史』2 通史編下（宮城県角田市、1986年）
* 平成『古川市史』第七巻 資料Ⅱ（宮城県古川市、2001年)

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