白石城

白石城：奥州の要衝に建つ歴史城郭

宮城県白石市に位置する白石城は、奥羽山脈と阿武隈高地に挟まれた白石盆地内にある独立丘陵の北端に築かれた平山城です。標高76メートル、市街地との高低差は約20メートル。北へ約1キロメートルには白石川が流れています。近世までは陸奥国刈田郡に属し、奥州街道が南北に通じる交通の要衝を占めていました。西へは米沢、東へは相馬へと続く街道も存在し、古くから戦略的に重要な拠点であったことがうかがえます。

城郭構造：六丸五曲輪の規模

白石城は、近世の絵図から城域が拡張されていったと考えられています。最終的には、丘陵頂上に本丸、二の丸、中の丸、西曲輪、中段に沼の丸、南の丸、巽曲輪、帯曲輪、厩曲輪、平地部分に三の丸、外曲輪という、六丸五曲輪という大規模な構造となりました。

本丸には、天守に代わる大櫓（三階櫓）がそびえ立っていました。正保年間の絵図には二階櫓、寛文年間の絵図には三階櫓が描かれており、改築された可能性も指摘されていますが、発掘調査などから当初から三階櫓であった可能性が高いとされています。三階櫓は藩の支城であることを示す一方、幕府への配慮から天守を名乗らず大櫓と称されたと推測されています。

現存する遺構としては、厩口門、東口門などが市内寺院の山門に移築され、土塁の一部も現存しています。これらの遺構は白石城の歴史を今に伝えています。

歴史：中世から近世、そして現代へ

白石城の築城者や築城時期は明確には分かっていません。中世には刈田氏（のち白石氏）の居館であったと伝わりますが、史料が乏しく詳細は不明です。その後、伊達氏、蒲生氏郷、上杉景勝と城主が変遷し、1600年の会津征伐では、伊達政宗の攻勢を受け、伊達氏領となりました。

1602年、伊達政宗の重臣・片倉景綱が1万8000石で入封し、明治維新まで片倉氏の居城として存続しました。これは、幕府の一国一城令の例外として認められたためです。『片倉代々記』には、白石城の修繕が30回以上記録されており、片倉氏による整備の徹底ぶりが伺えます。

戊辰戦争時には奥羽越列藩同盟の会議が開かれ、北白川宮能久親王も滞在しました。しかし、仙台藩の降伏後、白石城は新政府軍に明け渡され、その後、陸軍省、大蔵省の管轄を経て、1874年に民間へ売却され、解体されました。

1900年に城跡は益岡公園となり、長い間、城の遺構は公園として市民に親しまれてきました。

復元と災害：現代への継承

NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』の放映を機に、白石城の復元が活発化しました。多くの寄付金も集まり、1992年から復元工事が始まり、1995年に三階櫓、大手門、土塀などが復元されました。

しかし、2011年の東日本大震災、2021年と2022年の福島県沖地震で大きな被害を受け、復旧工事を繰り返すことになりました。これらの災害は、歴史的建造物の保全の難しさを改めて示しています。

近年では、「城泊」ツアーなども開催され、歴史と文化を体験できる観光地としても注目されています。

まとめ

白石城は、その地理的条件と歴史的経緯から、中世から近世にかけて重要な役割を果たした城郭です。幾多の変遷と災害を経験しながらも、復元された姿で人々に歴史を伝え続けています。その歴史と文化遺産は、未来へと繋がる貴重な財産と言えるでしょう。

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