松原右樹

松原右樹 - 和歌山の民俗学者

松原右樹（まつばら まれき、1943年 - 2011年）は、日本の著名な民俗学者であり、教育者としても多大な影響を与えた人物です。彼は和歌山県和歌山市に生まれ、國學院大學文学部を卒業後、産経新聞社に記者として勤務しましたが、その後教職に転身。大阪府立泉陽高等学校や大阪府立貝塚南高等学校、大阪府立伯太高等学校などで教鞭を執りました。

松原の人生は、公私にわたり教育や民俗学に尽力した証であり、特に国語教育や人権意識の啓発に情熱を注ぎました。彼は日本民俗学会の会員としても活躍し、年間約200回にわたる講演を行い、特に和歌山県の熊野古道における現地講演は特筆すべきものでした。これにより、彼は地域に根ざした学者として広く認識されるようになりました。

松原は熊野地方への深い愛情を持っており、その独自の視点から熊野を考察しました。彼は平安時代中期の文献『延喜式』に言及し、「熊野は死穢・産穢・血穢といった三不浄を全く気にしなかった」という考えを示しました。この考えは、彼の熊野に対する理解の一端を示しています。

彼の遺稿は、死後に関係者によって『松原右樹遺稿　熊野の神々の風景』としてまとめられました。この作品には「熊野のケガレ」「本宮に降臨する三枚の月」「ゴトビキ岩の秘儀―新宮」「那智ノ滝の妖しい魅力」「熊野三山・神々の原像」という五つの原稿が含まれ、彼の熊野に関する研究と思想が色濃く反映されています。

また、松原は大阪府高等学校国語研究会の副理事長としても活動し、和歌山大学やNHK文化センターなどで非常勤講師を務めたこともあり、多くの学生に影響を与えました。彼の教えを受けた学生たちは、彼の熱意や教えを今でも忘れないことでしょう。

松原右樹の著書には、共著として残された『紀州の伝説』があります。これは神坂次郎や中村浩と共著したもので、1979年に角川書店から出版された日本の伝説に関する重要な作品です。

彼の教育者としての姿勢や学者としての探究心は、多くの人々に感銘を与え、今日でも彼の業績は評価されています。松原の研究は、民俗学だけでなく、人々の心に深く根ざした文化を理解するための道しるべとなるでしょう。

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