松原正

松原正の生涯と業績

松原正（まつばら ただし、1929年12月22日 - 2016年6月8日）は、日本で著名な英文学者であり、評論家、劇作家、翻訳家として多岐にわたる活動を行った。彼は早稲田大学の名誉教授であり、自身の保守的立場から他の保守派への批判を行うことでも知られていた。

経歴

松原は東京都に生まれ、1952年に早稲田大学第一文学部英文科を卒業した。在学中は福田恆存に師事し、正字体と歴史的仮名遣いを用いた文章を書くことを学んだ。大学卒業後は早稲田大学で教鞭を取り、まずは文学部の非常勤講師から社会科学部の助教授、最終的には文学部の教授に就任した。

彼の文藝評論家としての活動は早くから始まり、高田保を通じて福田の支援を受けていた。松原は英米演劇を専門にし、その分野での翻訳や戯曲発表を行った。彼の創作した代表的な戯曲には『サイゴンから來た男』や『花田博士の療法』があった。さらに、雑誌「悲劇喜劇」での演劇時評や現代演劇協会の理事としての活動も行っていた。

評価とエピソード

「論壇の人斬り以藏」と自称していた松原は、その独自の視点から評価が分かれる存在だった。彼の著作に対する評価は賛否があり、特に保守派の中でも彼の批判的態度は注目を集めた。著名な評論家坪内祐三は松原を福田恆存の思想の後継者と見なす一方で、西尾幹二には彼に対する厳しい批判を行った。松原の批評観は、学生時代のT・S・エリオットに対する研究から影響を受けた。

また、彼は一般向けの執筆機会が限られていた1990年代以降も、小規模な出版物で執筆を続けた。特に、ネット上では『政治・好色・花鳥風月』という連載を行っていたが、2005年には更新が止まってしまった。

防衛論と文学批評

松原は防衛論の領域において、理論や統計にこだわらず、自衛隊との交流を重視して意見を述べる姿勢が注目された。文学批評では、既存の批評が著者に対する先入観に基づいていると批判し、作品の内容に基づく批評を主張した。特に、三島由紀夫や大江健三郎に対しては批判的な見解を示し、中野重治を高く評価するなど多面的な視点を持っていた。

最後に

松原正はその独特な評論スタイルと多様な業績により、文学界に大きな足跡を残した。彼の生涯を通じての評価は今もなお続いており、その影響は後の世代の評論家や文学者に引き継がれている。彼の晩年は特に夏目漱石に関する研究が中心であり、その功績は今後も忘れ去られることはないだろう。

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