松山野球拳おどり

松山野球拳おどり

松山野球拳おどり（まつやまやきゅうけんおどり）は、愛媛県松山市で毎年8月11日から13日までの3日間にわたり開催される祭りです。この祭りは、四国四大祭りの一つに位置づけられており、地域における夏の風物詩として多くの人々に親しまれています。かつては「松山まつり」という名称で知られていましたが、2022年より現在の「松山野球拳おどり」に改称されました。

歴史

この祭りの起源は、1966年（昭和41年）に松山市、松山商工会議所、南海放送、愛媛新聞社の四者が共同で主催した「松山おどり」に遡ります。「松山おどり」の名称は1971年の第6回まで使用され、その後「松山まつり」へと引き継がれました。そして、約半世紀以上の歴史を経て、野球拳おどりという名称を冠する現在の形へと発展しています。

祭りの構成

祭りは3日間開催され、それぞれの日に異なる催しが行われます。

1日目（8月11日）: 野球サンバが実施されます。軽快なサンバのリズムに合わせて、参加者たちが街を練り歩きます。
2日目（8月12日）: 野球拳おどり（企業連）が行われます。企業や団体がチームを組んで参加し、伝統的な野球拳の踊りを披露します。
* 3日目（8月13日）: 野球拳おどり（団体連）が開催されます。様々な市民団体や有志による連が参加し、祭りの最終日を盛り上げます。

これらの踊りには、それぞれ「連」と呼ばれる踊り手グループや参加チームが形成され、松山市の中心市街地などを練り歩くことで、祭りの賑わいを創出しています。

野球サンバ

野球サンバは、祭りの初日を飾る催しです。ブラジル音楽であるサンバのリズムを基調としながら、野球拳の要素を取り入れた独自の振り付けが特徴です。参加する連は、野球拳の踊りの動きを必ず振り付けに組み込むことが定められています。使用される楽曲には新旧の2バージョンがあり、各連は自由に選択して踊ることができます。野球拳おどりの派生として位置づけられる、ユニークな踊りです。

野球拳おどり

祭りのメインイベントともいえるのが、2日目と3日目に行われる野球拳おどりです。これは松山市に伝わる郷土芸能であり、特に有名な「野球拳」のイメージとは異なり、衣装を脱ぐといったパフォーマンスは一切ありません。伝統的な形式を守りつつ、近年ではロック調にアレンジされた楽曲も登場しており、これによって若年層の参加が増加する傾向が見られます。また、祭りの当日に参加を受け付ける「市民連」も設けられており、飛び入りでの参加も可能となっています。

松山港まつりとの連携

松山野球拳おどりの開催時期の前後には、松山港まつり（花火大会）が三津浜港にて開催されます。かつては南海放送サンパークで行われていた花火まつりが、2001年からは三津で行われる松山港まつりと統合されたことで、中四国地方でも最大級の規模を誇る花火大会となりました。三津ふ頭の目の前で打ち上げられるワイド・スターマインや特殊な花火は特に人気が高く、県内外から数十万人もの観覧客が訪れ、祭りに一層の華を添えています。

過去の変遷

かつての「松山まつり」では、祭りの3日目に松山市営球場を会場とした「ミュージックナイター」という盛大なイベントが行われていました。これはブラスバンドの演奏行進や花火の打ち上げなどを組み合わせた祭りのクライマックスを飾る催しでしたが、球場の老朽化に伴う撤去（2004年）により、2003年の開催を最後に廃止されました。また、市営球場の撤去に伴い、祭り期間中に松山城の三之丸である堀之内に展開されていた露店も姿を消しました。これは、球場の屋根部分を露店スペースとして利用していた場所が多かったためです。

開催中止の事例

祭りの歴史の中では、天候などの影響による一部中止の事例も発生しています。例えば、2014年の「第49回松山まつり」では、台風11号の影響を受け、8月8日から10日にかけて予定されていた城山公園でのイベント「まつこいパーク」や、9日に開催されるはずだった野球拳おどり（団体連の部など）が中止となりました。ただし、10日の野球サンバは通常通り行われました。このような一部中止は、1966年に祭りが始まって以来、これが初めてのことでした。

松山野球拳おどりは、伝統的な郷土芸能と現代的な要素を取り入れながら進化し続け、松山の夏を熱く彩る重要な文化イベントとして位置づけられています。

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