松岡聡 (計算機科学者)

松岡 聡 (まつおか さとし)

概要

松岡聡は1963年に東京都で生まれた、日本の著名な計算機科学者です。彼は特に高性能並列システムの研究において傑出した業績を持ち、スーパーコンピュータ『富岳』の総責任者として国際的に知られています。

来歴

松岡は1982年に私立武蔵高校を卒業した後、1986年に東京大学理学部情報科学科を修了しました。在学中には、岩田聡と共にゲームソフト『ピンボール』の開発に参加していました。その後、東京大学大学院へ進学し、1993年に博士号を取得しました。彼の博士論文のテーマは、並列オブジェクト指向言語における拡張性と再利用のための言語特徴に関するものでした。

1989年に同大学の助手となり、その後講師を経て、1996年には東京工業大学の助教授に就任。2001年には東京工業大学学術国際情報センターの教授に就き、さらに2002年より国立情報学研究所の客員教授も務めています。2018年には理化学研究所計算科学研究センター（R-CCS）のセンター長に就任しました。

専門分野と研究業績

松岡の専門は、高性能な並列システムであり、GPUや省電力、高信頼性、大規模データ処理、さらには高性能AIなどの分野を手掛けています。彼は国際的な学会において多くのプログラム委員長を歴任し、特にACM HiPCなど著名な会議でもその貢献が評価されています。

特に注目すべきは、東京工業大学が運営するスーパーコンピュータ『TSUBAME』シリーズでの業績です。彼はこのスーパーコンピュータの設計者・責任者として、省電力や計算速度において世界的な評価を得ており、世界のトップランクに位置する計算機を実現しました。また、彼の研究はビッグデータやAIとの融合、並列アルゴリズムやプログラミング手法の確立にも貢献しています。

受賞歴

松岡はその研究により多くの権威ある賞を受賞しています。2009年に米国計算機学会(ACM)のフェローに選ばれ、2011年にはACM Gordon Bell賞を受賞しました。さらに2014年には、スーパコンピュータ分野での最高峰賞であるIEEE Sidney Fernbach賞を日本人として初めて受賞。その他にも、文部科学大臣表彰や日本各地の多くの学術賞を受賞しています。

最近では、2020年にはスーパーコンピュータ『富岳』において、過去に類を見ない過去2回連続で世界1位の評価を得るなど、その業績は継続的に評価され続けています。

著作

松岡は著書も発表しており、2022年には『スパコン富岳の挑戦 GAFAなき日本の戦い方』を出版しました。この書籍では、日本が先端技術で競争するための考察が述べられています。

結論

松岡聡は、計算機科学の分野において数々の革新をもたらした研究者であり、その成果は将来の技術革新に大きな影響を与えるでしょう。彼の業績は国内外で高く評価されており、今後の研究活動にも期待が寄せられています。

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