松崎一 (物理学者)

松崎 一（まつざき はじめ）: 日本の物理学者

松崎一は、1917年4月30日生まれの物理学者であり、日本の教育界に大きな影響を与えた人物です。彼は長野県の稲荷山町に生まれ、家庭はメリヤス製造業を営んでいました。学生時代には、旧制屋代中学校を経て、旧制松本高等学校の理科甲類に在籍し、さらに1938年には東京帝国大学の理学部物理学科に進学しました。

学生時代から教職へ

1942年、松崎は東京帝国大学を卒業すると、母校である松本高等学校に招かれ、教員としての道を歩み始めました。当時、松本高等学校は桑木彧雄が校長を務めており、松崎はそのもとで物理を教えることになりました。参戦経験がある彼は、召集されたものの健康上の理由で帰郷し、松本高等学校に着任しました。教壇に立ちながら、彼は熱心に生徒個々の指導にも力を入れ、自宅に学生を招いて個人教授を行うなどしています。

特に印象的なエピソードには、彼の生徒であった北杜夫が著したエッセー『どくとるマンボウ青春記』での言及があります。ここでは、物理の試験に詩を書くという独特な試みをした結果、合格点に一歩届かなかった話や、試験範囲を探るために松崎教員に尋ねたエピソードが描かれています。

信州大学でのキャリア

1949年、松崎は新制の信州大学文理学部に所属し、1956年からは教養部の創設メンバーとして教鞭を執ります。彼は信州大学内で図書館長や教養部長を歴任し、その教育理念を具現化していきました。1966年には、信州大学の教養部での活動が始まり、1983年に定年を迎えるまで教育に尽力しました。

その後、松崎は松商学園短期大学の学長としても活躍し、1993年までその職を務めました。教育に対する熱意は生涯にわたり続き、彼の教え子や同僚たちに多くの影響を与えました。

晩年の活動

松崎は晩年には、旧制高等学校記念館に足しげく通い、ボランティアとしてガイド活動を行うなど、教育に対する情熱が衰えることはありませんでした。彼はその業績を讃えられ、勲三等旭日中綬章を受章しています。

関連項目

松崎一の同時代には玉井袈裟男という同僚の農学者が存在し、信州大学教養部や松商学園短期大学でともに過ごし、その関係性が教育界での交流を生んでいました。彼の長年にわたる教育への貢献と専門的な業績は、今なお多くの人々に影響を与える存在として語り継がれています。

もう一度検索