松巌寺

松巌寺 (しょうがんじ)

松巌寺は、長野県長野市鬼無里に位置する曹洞宗の寺院です。その山号は凌雲山で、古称は鬼立山地蔵院です。特に鬼女・紅葉の菩提寺として知られ、境内には守護仏として地蔵菩薩が安置されています。

寺院の伝説と歴史

この寺の起源は、平安時代の安和2年（969年）に遡ります。この年、平維茂によって紅葉が討たれた後、紅葉が尊崇していた地蔵菩薩像が祀られたことが、松巌寺の前身である鬼立山地蔵院の創設とされています。江戸時代の元和元年（1615年）に、安曇郡の青原寺から松巌芳祝が訪れ、この寺の初代住職となります。彼は、当時名残があった真言宗から曹洞宗へと宗派を改め、ここには釈迦牟尼仏も祀られるようになりました。

また、松巌芳祝は鬼無里村の松本家からの出身であり、同じく紅葉伝説が残る大昌寺も創建しています。この寺の寺紋である三階松は、松本家の3つの一族（現正光家・静雄家・道雄家）を象徴しています。

伽藍の発展

松巌寺の伽藍は、創設から約10年後の寛永2年（1625年）に地蔵院跡地に観音堂が建設されたことから始まりました。その後、本堂や庫裡、経堂なども次々と建てられ、伽藍の整備が進みました。特に、本堂は享保15年（1730年）、庫裡は宝暦8年（1758年）、そして経堂は寛政7年（1795年）に設けられました。

このような寺の発展においては、第3世の独室演永が重要な役割を果たし、明松寺から来て法を整えたことが中興のきっかけとなりました。ちなみに、江戸時代末期には、松代の長国寺の住職が戒師として招かれたこともあり、その際の著作には「鬼無里行紀」の詩文が収められています。

明治以降の変遷

明治維新後、松巌寺は多くの変化を経験します。明治6年（1873年）には学校が、明治18年（1885年）には役場が寺の一部を借用することとなります。しかし、明治25年（1892年）6月3日に本堂と庫裡が焼失するという悲劇が発生しました。この結果、学校と役場は寺の裏手に新築されましたが、改修は1903年に本堂が再興されるまで続きました。庫里は仮設のものが長い間使われており、1973年にようやく改築されました。

また、松巌寺は周辺の歴史的な寺院とも関係があります。例えば、大明山正福寺や虫倉山善松寺は、松巌寺の末寺として位置づけられています。

文化財と著名人物

境内には和算家・寺島宗伴の五輪塔や作家・川端康成の文学碑が存在し、歴史と文化を感じさせます。さらに、松巌寺は長野市指定の有形文化財をいくつか有しており、観音堂算額や経蔵、観音堂、鎮守堂などがその一部にあたります。

結論

松巌寺は長い歴史と豊かな伝説を持つ寺院であり、その存在は地域の文化や歴史を語る重要な拠点となっています。訪れる人々は、その静けさの中で仏教の教えや文化の深さを感じ取ることができるでしょう。

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