寺島宗伴

寺島宗伴（てらしま そうはん）は、1794年（寛政6年）に信濃国水内郡鬼無里村（現在の長野県長野市鬼無里）に生まれた、江戸時代後期から明治時代にかけての和算家です。通称は数右衛門、号は北明と称しました。

生涯

宗伴は、叔父である寺島半右衛門陳玄に師事し、京都の宮城清行を流祖とする宮城流和算を学びました。1816年（文化13年）には宮城流の免状を得ています。その後、松代城下に移り住み、町田源左衛門正記から最上流和算を学び、1827年（文政10年）に最上流の免状を取得しました。当時の最上流は、主流であった関流に論争を挑み、注目を集めて最盛期を迎えていた時期でした。

宗伴は、鬼無里を中心に信濃各地を遊歴し、多くの門弟を育成しました。その数は、鬼無里村の住民だけでも500人以上、信濃から越後にかけて800人を超えるといわれています。和算の指導に加えて、折方（折り紙）、家相、挿花、規矩術（建築術）、そろばんなど、幅広い分野の知識を教授しました。これらの活動を通じて、地域文化の発展に大きく貢献しました。

宗伴は、明治17年（1884年）2月2日に90歳で亡くなりました。鬼無里の松厳寺には、彼の奉納算額が残されています。また、境内には辞世の句が刻まれた五輪塔も現存しており、その生涯を偲ぶことができます。鬼無里ふるさと資料館には、宗伴の遺品や著作が展示されており、彼の業績を今に伝えています。

著作

寺島宗伴は、生涯にわたり多くの和算書を著しました。以下に代表的な著作を挙げます。

『算法続浅問答』：17歳の時に著したもので、初歩的な問題をまとめたものです。
『算法天元算題花』：全六篇で構成され、初篇から五篇までは上中下の三巻構成となっています。
『神壁算法記』：関流の和算家、藤田嘉言の「神壁算法」にちなんで著されたものです。
『算法隔日記』：全二十巻からなる大著です。
『算法用学精』：和算の理論や計算方法を詳細に解説した書物です。
『冪乗式算題術期限』：冪乗に関する問題とその解法をまとめたものです。
『開式綴術真法』：開式の計算方法を解説したものです。
『算法相場割』：相場に関する計算問題を扱ったものです。
『西洋八算見一之割』：そろばんを使った割り算の教科書です。
『常用算記録』：日常的な売買や利益計算を扱う初歩的な教科書です。
『神壁算題記』：藤田嘉言の『神壁算法』に関連する問題を集めたものです。

これらの著作は、当時の和算教育の発展に大きく貢献しました。

関連事項

会田安明：最上流算術の祖であり、寺島宗伴の師である町田正記は、会田安明の弟子でした。会田安明の思想は、寺島宗伴の和算にも影響を与えたと考えられます。

外部リンク

* [最上流算法免許状](例：関連する資料へのリンクがあれば記述）

寺島宗伴は、和算家としてだけでなく、地域文化の担い手としても重要な役割を果たしました。彼の業績は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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