松平宗矩

松平宗矩の生涯と藩政

松平宗矩（まつだいら むねのり）は、江戸時代中期に活躍した越前国福井藩の大名であり、藩主としての最後の世代の人物である。彼は初代結城秀康の血筋を引く最後の越前福井藩主となった。

経歴

宗矩は正徳5年（1715年）3月26日、陸奥国の白河新田藩主である松平知清の次男として生まれた。享保6年（1721年）には福井藩の9代藩主・松平宗昌の養子となり、宗昌の娘である勝姫を妻に迎えた。享保9年（1724年）、宗昌の死去に伴い家督を継ぎ、享保11年（1726年）12月11日に元服し、従四位下侍従に任命された。将軍・徳川吉宗からも偏諱を受け「宗矩」と名乗った。

宗矩は享保18年（1733年）に左近衛権少将に任じられるまで、忠実に藩の発展に尽力した。彼は寛延2年（1749年）に江戸にて35歳で生涯を終え、その後は養子の徳川宗尹の子、於義丸（重昌）が後を継いだ。

藩政とその影響

藩主となった宗矩は、経済的な困難に直面した福井藩の財政再建に取り組むことにした。自然災害が相次ぎ、財政状況は厳しさを増していた。そのため、宗矩は倹約令を発布し、藩士に対して財政の監視を厳しく設定するための勝手吟味役を設けた。借米や御用金の調達に苦労しながらも、困窮者に対しては救済を行ったことから、善政を実施したと評価されている。

また、大雪や洪水などの自然災害によって財政はますます悪化し、一時的には藩札に対する不安から取り付け騒ぎも発生した。その信頼回復を図るために担当者を処分している。こうした経験は宗矩に、多くの困難に対処する知恵を授けた。

さらに、彼は藩の財政を 根本的に再建するため、殖産政策にも力を入れた。三国湊の整備や、漆の増産を目指した苗木の植林を行うなど、藩の産業発展に貢献した。その結果、越前国内にあたる幕府領全体が福井藩の管轄となることができた。

しかし、寛保3年（1743年）には日光普請の手伝いを命じられ、これがさらに財政を圧迫する要因となった。日光修復の仕事は栄誉なものであったが、藩の資金には重い負担となった。それでも、宗矩は忠実な家臣や領民からの信頼を集め、良い藩主としての評価を受けた。特に「徳正君御出語」では、彼が名君であったと記されている。

系譜

宗矩の家族については、父に松平知清、母には本多氏、養父には松平宗昌がいる。妻の勝姫は松平吉邦の娘であり、宗矩の死後は養子の松平重昌が藩主の地位を引き継いだ。彼の存在は越前福井藩の歴史において非常に重要であり、その善政は今なお記憶され続けている。

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