松平尚栄

松平尚栄（まつだいら なおよし）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将であり、旗本でもあります。通称は藤之助といい、松平郷松平家（太郎左衛門家）の9代当主を務めました。

生涯

松平尚栄は、松平由重の長男として生まれました。幼少期については詳しい記録が残っていませんが、無位無禄の状態であったと推測されています。しかし、弟である信晴と共に、関ヶ原の戦いで徳川家康に従軍し、その戦功が認められ、慶長18年（1613年）に家康から恩賞として松平郷に旧領220石を与えられました。この恩賞により、松平家は再び領地を持つことができました。

その後、大坂の陣にも参戦し、本多正純の隊に属して活躍しました。特に、真田信繁が徳川家康の本陣に侵攻を試みた際には、これを防ぐという重要な役割を果たしました。この功績により、さらに230石を加増され、領地は合計450石となりました。領地の増加に伴い、松平氏館を増築し、勢力を拡大しました。

元和5年（1619年）には、徳川家康を祀る松平東照宮を松平郷に創建しました。これは、家康への感謝の念を示すとともに、松平家と徳川家の結びつきを強固にするものでした。松平東照宮は、現在も松平郷に残っており、地域の歴史を伝える重要な文化財となっています。

正保2年（1645年）頃に剃髪し、晴暗と号しました。これは、武士としての活動から一線を退き、隠居生活に入ったことを意味します。承応3年（1654年）に84歳で死去しました。

系譜

父：松平由重
母：不詳
妻：成瀬重正養女
長男：松平重和
* 養子：松平信正 - 鈴木重次の子、鈴木重成の兄弟。書院番士、200石。尚栄より先に死去。

松平尚栄は、戦国時代から江戸時代初期にかけての激動の時代を生き抜き、松平家の家名を高めました。彼の功績は、現在も松平郷に伝えられています。

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