松平忠之

松平忠之

松平忠之（まつだいら ただゆき）は、江戸時代前期の大名で、下総国古河藩の藩主でした。官位は従五位下・日向守。藤井松平家の嫡流6代目にあたります。

生涯

松平忠之は、松平信之（当時は播磨明石藩主、のち大和郡山藩主を経て古河藩主）の子として生まれました。

貞享3年（1686年）、父・信之の死去により家督を相続し、古河藩主となります。翌貞享4年（1687年）には、弟の信通に1万石を分与しました。

父・信之の治世である寛文9年（1669年）以来、幕命により、幕政に批判的な陽明学者である熊沢蕃山の身柄を預かっていました。熊沢蕃山の指導により、古河藩領では治水・干拓事業が行われ、一定の成果を挙げていました。しかしその一方で、熊沢蕃山の幕府批判は止むことがなく、貞享4年（1687年）に再び幕命が下り、忠之は熊沢蕃山を古河城内にて蟄居謹慎させることとなりました。

元禄4年（1691年）に熊沢蕃山が死去すると、忠之は蕃山を領内大堤の鮭延寺に葬りました。これは、忠之が蕃山の学識や才能を高く評価していたことの表れと考えられます。

元禄6年（1693年）11月23日、老中・戸田忠昌からの使者の応対をしたその夜に、突如として自らの髻を落とすという奇行に及びました。翌朝、家臣の若山六郎左衛門によってその行為が幕府に報告され、その日のうちに乱心を理由に改易され、弟の信通にお預けの身となりました。元禄8年（1695年）に江戸において死去しました。

系譜

父：松平信之（1631年 - 1686年）
母：小出吉英五女
正室：酒井忠義娘

関連項目

坂間の碑：松平藤井家紀功碑。茨城県古河市指定文化財。儒学者林鵞峰と林鳳岡の撰文が採用されています。この碑は、松平藤井家の功績を称えるために建立されたもので、当時の学者が文章を寄せています。

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