松平忠定

松平忠定：深溝松平家を築いた武将

松平忠定（まつだいら たださだ）は、戦国時代の武将であり、深溝松平家の初代当主として知られています。三河国額田郡深溝（現在の愛知県額田郡幸田町深溝）に深溝城を構え、この地を拠点に勢力を拡大しました。

生涯

『寛政譜』によれば、忠定は五井松平家初代・松平忠景の次男とされています。しかし、近年の研究では忠景と忠定が同一人物であり、その父は松平信光の子・正則（元芳）であるという説が有力です。当初、忠定は額田郡岩津（現在の岡崎市岩津町）に住み、保母村（同市保母町）を領していました。

大永4年（1524年）、兄・元心は松平長親の命により深溝城主・大場景紀を討ち、深溝城を奪取します。忠定はその戦功を兄から譲り受け、深溝を領して深溝松平家を興しました。深溝城攻略の際、忠定が大場景紀の家臣・稲吉惣助と共謀し、大場景紀を毒殺したという説も存在します。また、島原本光寺の説によれば、岩津松平家の松平親長の娘と婚姻し、その所領を譲り受けて深溝松平家を発祥させたとも言われていますが、真相は定かではありません。

忠定は長寿を全うし、66歳で生涯を終えたと伝えられています。彼の墓所は、自らが開基となり創建した瑞雲山本光寺（開山は希聲英音大和尚）にあります。また、向野墓所（前本光寺）には忠定の首塚がありますが、戦死した記録がないことから、実際に首が埋葬されている可能性は低いと考えられています。首塚の隣には、善明堤の戦いで討ち死にした息子・好景の墓（首塚）があります。

忠定には好景の他に定政という息子もおり、彼は保母松平家の祖として知られています。保母城（岡崎市保母町）は深溝松平家と深い関わりがありますが、その詳細な研究は郷土史レベルに留まっています。

系譜

父：松平忠景
母：不詳
妻：松平親長の娘（三光清春大姉）
子女：
男子：松平好景
男子：松平定政 - 孫十郎、十郎右衛門、了忠
男子：浅野定清 - 太郎右衛門
男子：松平康定 - 勘解由左衛門
男子：市川好之 - 久大夫
男子：松平景行 - 新八郎
女子：大原正親室
女子：稲生某室
女子：菅沼定村正室
女子：山本加賀室
女子：小笠原主膳室
女子：佐野孫太郎室

参考文献

* 『家康と松平一族』安城市歴史博物館編集（2021年発行）P.38～42深溝家

松平忠定は、深溝松平家の基礎を築き、その後の発展に大きく貢献した人物として、歴史に名を刻んでいます。

もう一度検索