松平斉承

松平斉承の生涯とその影響

松平斉承（まつだいら なりつぐ）は江戸時代後期の大名で、越前国福井藩の14代藩主です。彼の官位は従四位上・侍従、左近衛権少将にあたります。斉承は1811年に福井に生まれ、13代藩主・松平治好の三男として育ちました。その誕生は家族の中で特別なもので、特に文政期において重要な役割を果たしました。

文化8年（1811年）に誕生した彼は、1817年に11代将軍・徳川家斉の娘である浅姫と結婚します。結婚は211年に文政2年に行われ、文政7年には元服を果たし、自らの名を斉承と改めました。また、この時に従四位上・侍従に叙任されています。

文政9年（1826年）には父の死去を受けて家督を継ぎますが、この跡継ぎ時の彼はまだ若く、歳月は彼に厳しい状況をもたらしました。彼の就任後、藩主としての責任を果たし、文政10年からは倹約令を発令し、さらに文政12年には家臣の知行を半減させて藩の財政の再建に努めました。しかし、彼自身は贅沢や豪華さを好む一面があり、福井城本丸には贅沢な御殿を建設するなどして、結果として藩政は厳しい状況に陥りました。

当時、福井藩は多くの困難に直面していました。米価の高騰や、天然痘などの疫病の流行が身近に存在し、藩の人々は厳しい生活を強いられていました。斉承の失政もあいまって、藩の財政は大きく悪化し、彼の治世はさまざまな問題を抱えることになります。

彼の生涯は短いもので、天保6年（1835年）に江戸で亡くなりました。享年はわずか25歳であり、死因は痢病だと伝えられています。実子がすべて早世してしまったため、家斉の子であり、彼の異母弟である松平斉善が養子となって藩主を継承しました。

斉承が晩年に近江国彦根藩との領地交代を画策したことは、歴史において重要なエピソードの一つです。この試みは成功しませんでしたが、その影響が幕末期における藩主松平春嶽（斉善の養子）による井伊直弼との対立の遠因とされることがあります。

系譜

父: 松平治好
母: 寿満 - 千種氏
正室: 浅姫（1804年 - 1857年） - 松栄院、徳川家斉の十一女
長女: 菊姫（1826年 - 1831年） - 早世
長男: 於義丸（1829年 - 1835年） - 早世
側室: 左登 - 水野氏
次男: 邦之助（1830年 - 1830年） - 早世
養子: 松平斉善（1820年 - 1838年） - 徳川家斉の二十二男

松平斉承の短い人生は、多くの矛盾と困難に満ちており、特に贅沢好きな性格が藩に如何に影響を与えたかが後の歴史にも影響を及ぼしました。

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