松平清昌

松平清昌

松平清昌（まつだいら きよまさ）は、江戸時代前期の旗本であり、三河国宝飯郡西郡の初代領主。竹谷松平家8代当主として知られています。

生涯

文禄2年（1593年）に徳川氏家臣で三河吉田藩の初代藩主となった松平家清の庶子（次男）として生まれました。

当初は幕府に仕え、江戸城書院番士として活躍しました。慶長17年（1612年）に父の死後、異母兄・忠清が家督を継ぎましたが、間もなく死去。これにより三河吉田藩の竹谷松平家は無嗣除封となりました。しかし、竹谷松平家のこれまでの功績を考慮した幕府は、清昌に5千石を与え、交代寄合の大身旗本として家名の存続を許しました。

大名ではなくなり封地は没収されましたが、代わりに縁のある宝飯郡西郡（現在の愛知県蒲郡市）11ヵ村の領主として封じられました。そして、この地に蒲形陣屋を築きました。相続の際、叔父の清定が家老格として3千2百石を給されており、その子の清信への相続も検討されましたが、清信がまだ幼かったため、年長の清昌が跡を継ぐこととなりました。この家系は別途取り立てられ旗本となっています。

石高が3万石から5,000石にまで減少したため、清昌は緊縮財政を強いられました。その一環として、竹谷家の菩提寺であった龍台院と全栄院などを統合し、龍台山天桂院としました。

大坂の陣では、冬・夏ともに36騎を率いて参戦。元和3年（1617年）7月には、2代将軍徳川秀忠の上洛に随行し、父や兄から続く玄蕃頭に叙任されました。翌月8月には宮中関係者への挨拶を済ませています。また、武芸にも励み、弓の印可目録4巻を授けられました。

寛永3年（1626年）、大御所となっていた秀忠の再上洛に供奉。二条城での宴のために後水尾天皇と中宮和子（秀忠の五女）が訪れる際、中宮の御車の直前を進む騎衛の諸大夫20人の一人に選ばれ、その任を務めました。

寛永9年（1632年）に秀忠が死去すると、徳川家光から秀忠の遺金として銀3枚を拝領。寛永7年（1630年）と寛永10年（1633年）には大坂城の勤番を務めました。寛永13年（1636年）には大坪流馬術の秘伝目録を授かっています。

明暦元年（1655年）に生涯を閉じました。

浅野氏との縁

清昌は浅野氏とも深い縁がありました。彼の姉妹が徳川家康の養女として常陸国笠間藩主の浅野長重に嫁いでおり、その間に生まれた男子が長直でした。長直にはなかなか嗣子がなく、そこで白羽の矢が立ったのが清昌でした。清昌の人柄を評価した長直は、彼の子を養子に迎えたいと望み、その結果、清昌の子は浅野長賢と名乗り、長直の養子となりました。しかし、長賢の入嗣後に長直に実子が生まれたため、長賢は次男として別家を立て、3千5百石の旗本となりました。

このように、松平清昌は激動の時代を生き抜き、武士としての務めを果たす一方で、文化的な才能も発揮し、浅野家との縁を通じて歴史に名を残しました。

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