松平穆堂

松平穆堂 - 近代日本の書家

松平穆堂（まつだいら ぼくどう、1884年10月22日 - 1962年10月15日）は、日本の書家として著名であり、教育者としても活躍した人物です。彼は以文会の理事であり、松平武右衛門家の10代当主でもありました。黒崎研堂の門下生として、吉田苞竹と並び称された彼の書道は、現在でも多くの評価を受けています。

生い立ちと教育

松平は1884年、山形県の東田川郡松ヶ岡に生まれました。彼の父は塚原権平で、松平家の9代当主、松平久彰の養子となりました。若いころから書道に興味を持ち、黒崎研堂の門下で本格的な学びを始めます。その後、1907年に山形師範学校を卒業し、最上郡鮭川村小学校に勤めます。彼は教員試験に合格し、中等教育の習字科の免許を手に入れました。

1912年には酒田高等女学校で教鞭を執り、特に書道の分野で生徒たちに優れた指導を行いました。しかし、4年後の1916年には書道の修行のために中華民国青島市へ移り、青島日本高等女学校で教えることになります。この経験も彼の書道技術や感性をさらに豊かにする要因となりました。

帰国後の活躍

1928年に日本へ帰国した後、松平は再び鶴岡高等女学校に勤務し、その後1934年には鶴城書道会を設立し、会長に就任します。彼の影響力は高まり、1939年には宮内省・図書寮の嘱託職員にも任命されました。戦時中には再度鶴岡高等女学校で教鞭を取る傍ら、書道館で多くの生徒を指導しました。

1950年には、以文会が設立され、理事としてその活動に尽力します。この団体は現在、致道博物館として知られ、彼の書道教育の精神を受け継いでいます。松平は1962年に78歳で亡くなるまで、書道界の発展に貢献し続けました。彼の墓は鶴岡の大督寺にあります。

主な出版物

松平の作品としては、1975年に『烏丸帖』、1978年には『三体千字文』、そして1990年には『四時佳興 - 黒崎研堂・松平穆堂・吉田苞竹詩選』があります。これらの出版物は、彼の技術だけでなく、書道の歴史や教育方法にも貴重な資料となっています。

彼の影響

松平の門下生には、旧庄内藩主酒井家の当主や顧問がいます。門下生たちは松平の教えを受け継ぎ、多くの書道家として名を馳せており、彼の影響は未だ色濃く残っています。また、彼の家族は、絵師や南画家、また医師や教育者といった多様な人材を輩出しています。特に曾祖父の大山北李は、著名な絵師として知られ、葛飾北斎の弟子でもありました。

このように松平穆堂は、日本の書道界において重要な役割を果たし、後世にその功績が記憶される人物です。

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