松平親清 (長沢松平家)

松平親清（まつだいら ちかきよ）は、生年不詳ながら文亀元年（1501年）以降まで生きたとされる室町時代の武将です。長沢松平家の3代目当主であり、通称として源七郎、上野介、備中守を名乗りました。

生涯の謎

親清は長沢松平家2代当主・松平親益の嫡男として三河国に生まれたとされます。初名は近宗、法名は浄恩。しかし、『寛政重修諸家譜』（以下『寛政譜』）の記述には矛盾点が存在します。初代親則の没年が寛正2年（1461年）、2代親益の没年が寛正6年（1465年）と記録されており、中村孝也氏は親益の代で父子相続が途絶えた可能性を指摘しています。平野明夫氏は、豊田市の長沢にあった親則の系統が断絶した後、音羽町（現豊川市）の長沢を拠点とした別の系統が系譜上接合されたのではないかと推測しています。

『寛永諸家系図伝』（『寛永伝』）には、3代親清、4代勝宗に関する記述がありません。『寛政譜』には親清の没年が明応5年（1496年）とありますが、親清の二男とされる信重が文禄4年（1595年）に90余歳で没したという記録があり、没年に関する矛盾が指摘されています。このため、『寛政譜』の編者も親清の没年について疑念を呈しています。

大樹寺16人連判状

親清は文亀元年（1501年）8月16日、松平庶流家が結束を図るために行った大樹寺16人連判状に署名しています。この連判状への署名は、親清が当時の松平家において一定の地位を有していたことを示すものと考えられます。

墓所と子孫

親清の墓所は、愛知県岡崎市岩津の妙心寺にあります。子には松平勝宗がいます。

このように、松平親清の生涯には不明な点が多く、今後の研究によって新たな事実が明らかになることが期待されます。

参考文献

『寛政重修諸家譜第1輯』（国民図書、1922年）
『寛永諸家系図伝 1』（続群書類従完成会、1980年）
中村孝也『家康の族葉』（講談社、1965年）
平野明夫『三河 松平一族』（新人物往来社、2002年）

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