松本弘子

松本弘子：国際的に活躍した日本のファッションアイコン

松本弘子（まつもと ひろこ、1935年8月11日 - 2003年6月21日）は、ファッションモデル、女優、そして服飾評論家として多岐にわたり活躍した人物です。東京府（現在の東京都）出身の彼女は、その洗練された美しさと国際的な舞台での活躍で、日本のファッション史に名を刻みました。

モデルとしてのキャリア

松本弘子は、1955年に成蹊高等学校を卒業。高校在学中に『アサヒグラフ』の表紙を飾ったことをきっかけに、プロのファッションモデルとしてのキャリアをスタートさせました。1957年、彼女の人生を大きく変える出会いが訪れます。森英恵の紹介で、初来日したピエール・カルダンに見出されたのです。カルダンは、自身のファッションショーに多様性をもたらすため、東洋人モデルの起用を考えており、松本の存在はまさに理想的でした。

1960年、松本はパリ・コレクションでランウェイデビューを果たし、松田和子に次ぐ、東洋人として2人目のパリコレモデルとなりました。市松人形を彷彿とさせるボブカットをトレードマークとし、「東洋のヒロコ」として一躍人気モデルとなります。カルダンは、彼女のランウェイでの優雅な歩き方を「重力を感じさせず、まるで天女のよう」と絶賛し、メインの服を彼女に纏わせました。彼女の存在は、カルダンのコスモコールブームにも大きく貢献しました。

パリでの生活と新たな挑戦

1961年、松本はカルダンのブティックの支配人であったフランス人男性と結婚。結婚の際には、カルダンから特注のブライダルドレスが贈られました。1963年からはパリに拠点を移し、1967年に出産を機にモデルを引退。しかし、彼女の創造的な活動は止まることなく、1970年には、フランソワ・トリュフォー監督の映画『家庭』に女優として出演しました。

ファッション業界への貢献

1975年、松本はファッション雑誌『ヴォーグ』で、編集・広報、そして広告入稿の日本担当責任者として新たなキャリアをスタートさせました。1995年に同社を退社後は、ファッションアドバイザーとして独立。1996年には、神戸ハーバーサーカス（当時）に自身のブティック「ル・ショワ・ド・ヒロコ」をオープンさせました。

晩年と遺産

2003年、松本弘子はパリで67歳で生涯を閉じました。彼女の国際的な活躍とファッションへの貢献は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

松本弘子は、単なるファッションモデルとしてだけでなく、異文化の架け橋となり、国際的な視点からファッション業界に貢献した先駆者として、その名を記憶されるでしょう。

参考文献
* グラフィック社編集部『ピエール・カルダン デザインアーカイブ』グラフィック社、2022年8月。ISBN 978-4766136289。

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