松本白鸚 (2代目)

二代目 松本白鸚：歌舞伎を超えた、稀代の舞台人

二代目松本白鸚（にだいめ まつもと はくおう、1942年生まれ）は、日本の歌舞伎役者、日本舞踊家、そして俳優として、類まれな活躍を続ける第一人者です。高麗屋を継承する一方で、外祖父の播磨屋の芸も受け継ぎ、時代劇から現代劇、ミュージカルまで、幅広いジャンルで卓越した演技力を見せつけてきました。

華麗なる歌舞伎役者としてのキャリア

3歳で初舞台を踏み、幼少期から歌舞伎界で頭角を現した白鸚は、数々の名役を演じ、高い評価を得ています。『勧進帳』の弁慶役は、現役最多となる1200回以上の出演記録を誇り、その圧倒的な存在感と演技力は、歌舞伎ファンのみならず広く知られています。 他にも『菅原伝授手習鑑』の松王丸、『三人吉三廓初買』の和尚吉三など、多くの代表作で観客を魅了してきました。

国境を越えた活躍

白鸚の才能は日本国内にとどまりません。ニューヨーク・ブロードウェイでは『ラ・マンチャの男』、ロンドン・ウエストエンドでは『王様と私』の主役を、いずれも英語で演じ、国際的な舞台でも成功を収めました。『ラ・マンチャの男』では、脚本家ワッサーマンの夫人から、トニー賞のトロフィーを譲り受けたというエピソードも有名です。 これら海外公演での成功は、彼の演技力の高さと、言語や文化の壁を超える表現力の豊かさを示すものです。

多彩な才能と創造性

歌舞伎役者としての活動に加え、白鸚は演劇企画集団「シアター・ナインス」や歌舞伎企画集団「梨苑座」を設立するなど、舞台芸術の創造者としても大きな役割を果たしています。「九代琴松」の名で舞台演出も手掛け、その多才ぶりを発揮しています。さらに、テレビドラマでは大河ドラマを中心に数々の主演作を持ち、まさに万能型の俳優と言えるでしょう。 1967年には『野バラ咲く路』を自ら作詞・作曲・歌唱し、レコードデビューも果たしています。

数々の受賞歴と栄誉

白鸚の功績は数々の賞によって認められています。芸術選奨文部大臣新人賞、日本芸術院賞、毎日芸術賞、菊池寛賞、文化功労者、そして文化勲章など、その受賞歴は輝かしいものです。これらの受賞は、彼の長年にわたる芸術活動の成果であり、日本文化への貢献の大きさを物語っています。 数々の賞は、単なる演技力だけでなく、演出、創作活動を含めた総合的な芸術家としての彼の地位を確固たるものとしています。

充実した私生活と家族

趣味はギター演奏、絵画、競馬と多岐に渡り、多彩な才能を持つ白鸚。俳優としての活動以外では、家族も芸能界で活躍しており、長男は十代目松本幸四郎、次女は女優の松たか子です。 こうした華やかな家族環境も、彼の多様な才能と豊かな感性を育んできた一因と言えるでしょう。

結論

二代目松本白鸚は、歌舞伎役者としてだけでなく、俳優、演出家、そして芸術家として、時代を超えて愛され続ける稀有な存在です。その輝かしいキャリアと多様な才能は、日本の演劇史に大きな足跡を残しており、これからも彼の活躍から目が離せません。 彼の今後の活動にも期待が高まります。

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