松本車両センター

松本車両センターは、長野県松本市に所在する東日本旅客鉄道（JR東日本）首都圏本部の車両基地です。松本駅のすぐそばに位置し、主に中央本線をはじめとする周辺路線の車両が配置されています。

沿革

この車両基地の歴史は、1965年 4月1日に「松本運転所」として設立されたことに始まります。その後、組織改編を経て、2002年 3月23日には乗務員部門が松本運輸区として分離独立し、車両検修部門が「松本電車区」となりました。さらに2004年 4月1日には、現在の名称である「松本車両センター」に改称されています。

車両の配置についても変遷がありました。2000年12月には、それまで配置されていた篠ノ井線や大糸線で使用されていた115系の一部が長野総合車両所へ移管される一方、豊田電車区や小山電車区から中央東線用の115系が多数転入しました。しかし、2007年 3月18日には、これらの115系もすべて長野総合車両センターへ転属し、松本車両センターから115系の配置は一旦なくなりました。

近年の大きな動きとしては、2022年 10月1日に関東支社や八王子支社などが再編され首都圏本部が発足したことにより、それまで長野支社の管轄であった松本車両センターも首都圏本部の管轄へと移行しました。

略号と業務

配置車両には、所属を示す略号が記されています。かつて長野支社の管轄であったことを示す「長」と、松本の電報略号である「モト」を組み合わせた「長モト」が用いられています。管轄が首都圏本部に移った後、略号が「都モト」に改称された時期がありましたが、その後も「長モト」が使用されているようです。

車両の検査については、当センター内で交番検査や車輪研削といった日常的な検査や手入れが行われています。より大規模な全般検査や、車両機器の更新といった工事が必要な場合は、長野総合車両センターまで車両を回送して実施されます。

現在の配置車両

2023年4月1日現在、松本車両センターには電車のみが配置されています。主な車両として、特急列車に使用されるE353系と、普通・快速列車に使用されるE127系が見られます。

E353系電車は、合計213両が配置されています。これは主に、中央本線系統の特急「あずさ」や「かいじ」として運行される車両です。9両の基本編成が20本（S101～S120）、3両の付属編成が11本（S201～S211）在籍しています。2017年12月23日に営業運転を開始し、2019年3月16日のダイヤ改正をもって中央本線の定期特急列車はE353系に統一されました。特急「富士回遊」として富士急行線へ直通する列車や、平日運転の特急「はちおうじ・おうめ」「信州」にも使用されています。

E127系電車は、100番台の2両編成が12本（A1～A12）、合計24両が配置されています。これらの車両は、大糸線（松本～南小谷間）、中央本線（小淵沢・辰野～塩尻間）、篠ノ井線（塩尻～篠ノ井間）、信越本線（篠ノ井～長野間）といったエリアの普通・快速列車で活躍しています。基本的な編成は2両ですが、列車によっては4両編成で運行される時間帯もあります。過去には大糸線や篠ノ井線などで6両編成での運用も見られました。かつてはATS-P導入区間での運用が限定されていた時期もありましたが、順次改造工事が行われ、運用範囲が広がりました。A5編成からA12編成にかけては、冬季の霜取りのためクハE126形に霜取り用のパンタグラフが設置されている車両もあります。

過去の配置車両

松本車両センターには、現在活躍する車両の他にも、長年にわたり様々な車両が配置されてきました。

過去には、40系、51系、70系、80系といった旧型国電が、大糸線や信越本線、篠ノ井線、中央本線などで使用されていました。これらの車両は1978年から1981年にかけて、主に115系1000番台への置き換えが進み、姿を消しました。

また、中央本線辰野支線のワンマン運転用として、クモニ143形を改造した123系クモハ123-1の1両が「ミニエコー」の愛称で親しまれました。しかし、2013年3月のダイヤ改正でE127系に役目を譲り、同年4月に廃車されています。

115系は、1977年に1000番台が新製配置されて以来、このエリアの普通・快速列車の主力として長期間活躍しました。1998年のE127系登場により徐々に置き換えが進み、2007年 3月18日に全車両が長野総合車両センターへ転属し、配置がなくなりました。

かつて中央東線で運転されていた急行列車に使用された165系や169系も配置されていました。急行列車廃止後も臨時列車用として残りましたが、1998年にE127系の導入によってすべて廃車されています。

特急「あずさ」「かいじ」として長年親しまれた183系・189系も、この車両センターの歴史には欠かせません。183系は1986年、189系は1997年に転入してきましたが、2002年12月のダイヤ改正でE257系に置き換えられ引退しました。

牽引車や霜取り用として使用されたクモヤ143形クモヤ143-52も配置されていましたが、2018年3月17日に長野総合車両センターへ転属しています。

中央本線の特急「スーパーあずさ」として活躍したE351系も、一時期この車両センターに配置されていました。1994年12月3日から運行を開始しましたが、E353系への置き換えが進み、2018年3月17日のダイヤ改正で定期運用から撤退、同年4月7日のラストランをもって引退し、全車両が廃車・解体されました。

最後に、特急「あずさ」「かいじ」の主力としてE353系に置き換えられるまで活躍したE257系も、この車両センターの歴史に名を刻んでいます。2001年12月1日から運用を開始しましたが、2019年3月16日のダイヤ改正で中央線定期特急の座をE353系に譲りました。その後、多くの車両が改造され、東大宮総合車両センターに転属し、特急「踊り子」や波動用車両として新たな活躍の場を得ています。一方、余剰となった2両編成の増結用車両5本は、2020年6月15日付で廃車・解体されました。

機関車としては、大糸線で使用されたED21形3号機や、黒部ダム建設資材輸送のために配置され、その後ED21形を置き換えたED60形1～3号機が過去に在籍していました。ED60形は老朽化のため1986年までに廃車されています。

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