長野総合車両センター

長野総合車両センターは、長野県長野市に位置する、東日本旅客鉄道（JR東日本）首都圏本部が管轄する車両基地および車両工場です。

概要

1888年に長野機関庫として開設されたのが始まりで、かつては平林城があった場所に位置しています。国鉄時代には長野工場として、車両の検査・修繕だけでなく、蒸気機関車の製造も行っていました。1991年に長野工場と北長野運転所が統合され、長野総合車両所となり、車両基地と車両工場が一体化した初のJR区所となりました。2004年に現在の名称に変更されています。2022年11月には、長野支社から首都圏本部の管轄となり、所属略号も「長ナノ」から「都ナノ」に変更されました。センター内には、平林城址の石碑や、国鉄車両基地遺跡、西和田遺跡などの文化財も存在します。

歴史

1888年：長野機関庫が開設。
1890年：内閣鉄道局長野器械場が発足。
1893年：長野器械場が長野工場に改称。
1936年：長野機関庫が長野機関区に改称。
1942年：長野工場が長野工機部に改称。
1945年：長野工機部吉田分所を設置、長野空襲で被災。
1947年：昭和天皇が長野工機部を視察。
1952年：長野工機部が長野工場に改称。
1966年：長野運転所が発足。
1986年：長野第一運転区が発足。
1987年：北長野運転所に改称、JR東日本に継承。
1991年：長野工場と北長野運転所が統合し、長野総合車両所が発足。
2004年：長野総合車両センターに改称。
2019年：189系が廃車となり特急型車両の配置が消滅。
2021年：DD16形が廃車となり内燃機関車の配置が消滅。
2022年：首都圏本部の管轄に移行、略号が「都ナノ」に改称。

配置車両と略号

配置車両の略号

旅客車：「長ナノ」（長野支社と長野の電報略号）
機関車：〔長野〕

整備車両の略号

「長野総合車セ」
「NN」

現在は「長野総合車セ」が主流です。

業務内容

当センターでは、車両の検査・修繕・改造、配置車両の管理、車体清掃などを行っています。また、鋳物職場では、制輪子やブレーキライニングなどを製造しています。首都圏で使用された電車の廃車解体も実施しています。

主な業務内容

車両検査・修繕: 電車や気動車の定期検査、故障箇所の修理
車両改造: 車両のリニューアル、機器更新、用途変更
部品製造: 鋳鉄制輪子、ブレーキディスク、ブレーキライニングなど
車両解体: 廃車となった車両の解体
その他: JR東日本各駅のベンチ・ごみ箱、腰掛、側引戸の製造。

検査担当形式と配置区所

電車:
長野総合車両センター: 211系
松本車両センター: E353系, E127系
えちごトキめき鉄道: ET127系
気動車:
長野総合車両センター: キハ110系, HB-E300系
小海線統括センター: キハ100系, キハ110系, キハE200系
えちごトキめき鉄道: ET122形, ET122形1000番台

過去の主な改造・機器更新

しなの鉄道115系の塗色変更、リニューアル改造
京葉車両センター205系0番台の富士急行6000系への改造
JR東海371系の富士急行8500系への改造
中央線快速E233系0番台のトイレ設置、グリーン車連結対応改造
元中央・総武緩行線E231系0番台の武蔵野線向け改造
E257系0番台の踊り子・湘南用2000番台化、臨時列車用5000番台化改造
E353系フリーWi-Fi設置
E233系2000番台のワンマン運転対応改造
E127系0番台の南武支線転用改造

鋳物職場

当センターには鋳物職場があり、以下の製品を製造しています。

踏面ブレーキ用鋳鉄制輪子
ディスクブレーキ用ブレーキディスク
ブレーキライニング
JR東日本各駅のベンチ・ごみ箱
腰掛
側引戸
鋳鉄枕木、鋳鉄車輪（過去に製造）
ゴルフパター（過去に製造）
蒸気機関車用給水ポンプ筐体

車両解体

当センターでは、自社や近隣の車両センターの車両解体を行っています。2005年以降は、首都圏で使用された電車の廃車解体も担当しています。JR以外の車両では、しなの鉄道115系が解体されました。

配置車両（2023年4月1日現在）

電車

211系: 6両編成14本、3両編成36本
セミクロスシートとロングシートの編成がある。
大糸線、信越本線、篠ノ井線、中央本線、飯田線で運用。

気動車

キハ110系200番台: 18両
飯山線、しなの鉄道北しなの線、上越線・信越本線で運用。
特急「秋田リレー」用車両からの改造編入車。
HB-E300系: 2両
臨時快速「リゾートビューふるさと」などで運用

過去の配置車両

電車

115系: 1986年から2019年まで配置。
中央本線、大糸線、篠ノ井線、信越本線、飯田線で運用。
しなの鉄道へ譲渡された編成もある。
183・189系: 1975年から1997年まで特急「あさま」で運用。
普通・快速「妙高」などでも運用された。
2019年に全車引退。
485系: 6両編成1本（ジョイフルトレイン「彩」）
2017年に引退。
165・169系: 急行や快速で運用。
1998年に運用終了。
489系: 特急「あさま」「そよかぜ」で運用。
1997年に全車引退
381系: 特急「しなの」で運用。
70系・80系:信越本線で運用。1975年全車松本運転所へ転出。
クモヤ90形: 構内入れ換え用。
クモヤ143形: 霜取り運用や構内入換用。2022年に廃車。
クモユニ143形: 職員輸送や訓練用。2019年に廃車。

気動車

キハ58系: 飯山線で運用。
1997年に引退。
キハ52形: 飯山線で運用。
1997年に引退。

機関車

DD16形ディーゼル機関車: 小海線や飯山線で運用。
2021年に廃車。
EF64形電気機関車: 長野支社管内で運用。2008年に全車廃車。

客車

12系: 波動用、お座敷車。
1996年に引退。
14系: 波動用、ジョイフルトレイン「浪漫」。
2007年に引退。

長野総合訓練センター

当センターには、乗務員の技能訓練施設が併設されています。訓練線や訓練用ホーム、技能教育用の車両などが整備されています。

訓練線

約300メートルの訓練線があり、訓練用車両が使用されています。

訓練用機械

209系電車の中間車を改造した車両、車掌車、入換動車などが使用されています。過去には専用の115系電車が使用されていました。

長野スキルアップセンター

車両部品や機器を扱う作業員向けの教育施設です。実際の鉄道車両を改造した教材が使用されています。

保存車

当センターでは、保存が見込まれる車両や余剰車両を屋外留置線で保存しています。

主な保存車（2023年10月現在）

クモハ115-1030
EF65 1104・1105
クロ253-1
クモユニ143-1
クハ189-510・9
DD16 11
マニ50-2241
D51 486（静態保存）
クハ111-249（カットモデル）

一般公開

毎年10月上旬に「JR長野鉄道フェスタ」を開催し、センター内を一般公開しています。車両展示、工場見学、運転シミュレーション体験などが行われます。

その他エピソード

当センターでは、他区所の車両留置も行われており、E353系やE127系、383系などが乗り入れています。
梅小路蒸気[[機関車館]]開設当初、保存蒸気機関車の整備は長野工場で行っていました。
長野駅から当センターまでの回送線は、信越本線の経営分離の影響を受けていません。
長野工場時代には、D51形蒸気機関車、DD16形ディーゼル機関車、JR東日本107系[[電車]]などの製造実績があります。

長野総合車両センターは、鉄道車両の歴史と技術が息づく場所であり、これからもJR東日本の安全運行を支え続けていくでしょう。

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