松村由利子

松村由利子（まつむら ゆりこ、1960年9月14日 - ）は、日本の歌人、新聞記者、著作家、翻訳家として多岐にわたる分野で活躍しています。福岡県福岡市で生まれ、福岡県立筑紫丘高等学校を経て、東洋英和女学院短期大学、西南学院大学文学部英文科を卒業後、同大学院を中退しました。

ジャーナリストとしてのキャリアは、朝日新聞社での勤務を経て、毎日新聞社に入社したことから始まります。千葉支局、生活家庭部、学芸部、科学環境部で記者を務め、社会の様々な側面を見つめてきました。2006年からはフリーランスとなり、執筆活動や翻訳に専念。2010年からは沖縄県石垣島に在住し、自然豊かな環境の中で創作活動を続けています。

歌人としては、1990年に「かりん」に入会し、馬場あき子に師事しました。1994年には「白木蓮の卵」で第37回短歌研究新人賞を受賞し、その才能を広く知らしめました。1998年には第一歌集『薄荷色の朝に』を出版。2005年には第二歌集『鳥女』で第7回現代短歌新人賞を受賞。この歌集は、新聞記者としての社会的な感覚と、子を思う母の気持ちが織りなす作品として評価されました。2009年には、『遠き鯨影』で第45回短歌研究賞、『与謝野晶子』で第5回平塚らいてう賞を受賞。2011年には、第三歌集『大女伝説』で第7回葛原妙子賞を受賞するなど、数々の賞に輝いています。2020年には、第五歌集『光のアラベスク』で第24回若山牧水賞を受賞し、その歌人としての地位を確立しました。

松村由利子の作品は、社会に対する鋭い観察眼と、繊細な感情表現が特徴です。短歌作品には、ジャーナリストとしての視点と、母としての温かいまなざしが融合し、読者の心に深く響きます。また、科学的なテーマにも関心が高く、『31文字のなかの科学』で科学ジャーナリスト賞を受賞。科学と文学の融合を試みる独自な視点が評価されています。さらに、科学関係の児童書の翻訳も手がけ、『だいたいいくつ? - 数えてみよう・はかってみよう』、『風の島へようこそ』、『みどりの町をつくろう』など、子供たちの好奇心を刺激する作品を世に送り出しています。

著書には、短歌エッセイとして『物語のはじまり』や『語りだすオブジェ』、与謝野晶子をテーマにした『与謝野晶子』、児童書『お嬢さん、空を飛ぶ - 草創期の飛行機を巡る物語』、子育てに関するエッセイ『子育てをうたう』など、多岐にわたります。2023年には、『ジャーナリスト与謝野晶子』で第21回日本[[歌人クラブ評論賞]]を受賞するなど、研究者としてもその功績が認められています。NHK短歌選者も務め、後進の育成にも尽力しています。

松村由利子は、短歌、ジャーナリズム、エッセイ、翻訳と、様々な分野でその才能を発揮し、常に新しい表現を追求し続けています。その作品は、多くの読者に感動と共感を与え、文学界に大きな足跡を残しています。

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