科学ジャーナリスト賞

科学ジャーナリスト賞（JASTJ賞）

概要

科学ジャーナリスト賞（JASTJ賞）は、日本科学技術ジャーナリスト会議（JASTJ）が2006年に創設した賞です。科学技術に関する報道、出版、映像制作などで顕著な功績を残した個人や団体を表彰し、科学技術コミュニケーションの向上に貢献することを目的としています。

大賞と複数の受賞者からなる科学ジャーナリスト賞の二つの賞が毎年選考され、科学技術分野における優れた業績を称えています。受賞対象は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなど多様なメディアを網羅しており、科学ジャーナリズムの幅広さを反映しています。


受賞者一覧と受賞理由

以下に、過去の受賞者と受賞理由を年代順に示します。受賞対象となった作品や活動は、科学技術の進歩、社会問題への警鐘、科学リテラシーの向上など、多岐にわたっています。


2006年

科学ジャーナリスト大賞：元村有希子（毎日新聞記者）「理系白書」に関するブログを含む報道
科学ジャーナリスト賞：中村梧郎（ベトナム戦争の枯葉剤被害に関する長年の追及報道）、福岡伸一（BSEに関する一般向け科学書の執筆）、朝日放送アスベスト取材班（代表：石高健次）、大島秀利（毎日新聞編集委員）（アスベスト問題に関する粘り強い報道）


2007年

科学ジャーナリスト大賞：村松秀（NHK科学・環境番組部専任ディレクター）「NHKスペシャル　論文捏造」の制作と新書の出版
科学ジャーナリスト賞：山口裕之（信濃[[毎日新聞]]文化部記者）（チェルノブイリ原発事故に関する取材）、藤田恒夫（科学誌「ミクロスコピア」の長期発行）、米本昌平（『バイオポリティクス』の執筆）、横山広美（ウェブ作品「Nikon 光と人の物語」）


2008年

科学ジャーナリスト大賞：宮田親平（『毒ガス開発の父ハーバー』の著作）
科学ジャーナリスト賞：古賀祐三（『LIVE！オーロラ』プロジェクト）、田辺功（前朝日新聞社編集委員）（長年の科学ジャーナリズム活動）、海堂尊（『死因不明社会』の著作）、松永和紀（『メディア・バイアス』の著作）


2009年

科学ジャーナリスト大賞：北村雄一（『ダーウィン「種の起源」を読む』の著作）
科学ジャーナリスト賞：吉田重人、岡ノ谷一夫（理化学研究所）（『ハダカデバネズミ』の著作）、磯部泰弘、吉尾杏子（信濃[[毎日新聞]]編集局）（連載記事「いのちを紡ぐ」）、七沢潔（NHK放送文化研究所）（雑誌『世界』連載記事）、出河雅彦（朝日新聞）（『ルポ　医療事故』の著作）


2010年

科学ジャーナリスト大賞：井手真也、植松秀樹（日本放送協会）（『素数の魔力に囚われた人々』の番組）
科学ジャーナリスト賞：青野由利（毎日新聞論説委員）（『インフルエンザは征圧できるのか』の著作）、佐藤健太郎（『医薬品クライシス』の著作）、松村由利子（『31文字のなかの科学』の著作）、外岡立人（『鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集』のweb活動）


2011年

科学ジャーナリスト大賞：春原雄策、松木秀文（日本放送協会広島放送局）（『封印された原爆報告書』の番組）
科学ジャーナリスト賞：榎木英介（『博士漂流時代』の著作）、松沢哲郎（『想像するちから』の著作）


2012年

科学ジャーナリスト大賞：増田秀樹（日本放送協会）（『ETV特集 原発事故への道程』の番組）、茂木信幸（下野新聞）（『あなたの隣に 発達障害と向き合う』の報道）
科学ジャーナリスト賞：中山由美（朝日新聞）（『プロメテウスの罠』の報道）、山崎正勝（『日本の核開発』の著作）


2013年

科学ジャーナリスト大賞：上丸洋一、隈元信一（朝日新聞）（連載『原発とメディア』）
科学ジャーナリスト賞：八田浩輔（毎日新聞）（再生医療検証報道）、岩崎弘倫（NHKエンタープライズ）（『NHKスペシャル　世界初撮影！深海の超巨大イカ』の番組）、加藤就一（日本テレビ放送網）（『NNNドキュメント　活断層と原発』の番組）


2014年

科学ジャーナリスト大賞：白石草（OurPlanetTV）（『東電テレビ会議』の制作）
科学ジャーナリスト賞：三村忠史（NHK報道局社会番組部）（『NHKスペシャル“いのちの記録”』の番組）、あさりよしとお（『宇宙へ行きたくて液体燃料ロケットをDIYしてみた』の著作）、金森博雄、瀬川茂子、林能成（『巨大地震の科学と防災』の著作）


2015年

科学ジャーナリスト大賞：須田桃子（毎日新聞）（『捏造の科学者　STAP細胞事件』の著作）
科学ジャーナリスト賞：山本洋子（中国新聞）（連載記事『廃炉の世紀』）、加藤正文（神戸新聞論説委員）（『死の棘・アスベスト』の著作）、添田孝史（『原発と大津波』の著作）、浅井健博（NHK制作局科学環境番組部）（『NHKスペシャル　腸内フローラ』の番組）
特別賞：大石和江（東京理科大学近代科学資料館代表）


2016年

科学ジャーナリスト大賞：阿部豊（『生命の星の条件を探る』の著作）
科学ジャーナリスト賞：会川晴之（毎日新聞北米総局長）、河合蘭（『出生前診断』の著作）、田辺文也（『解題「吉田調書」』の記事）、近堂靖洋（NHK報道局ネット報道部長）（『NHKスペシャル　廃炉への道』の番組）


2017年

科学ジャーナリスト大賞：金崎由美、藤村潤平、馬場洋太（中国新聞）（連載記事『グレーゾーン　低線量被曝の影響』）
科学ジャーナリスト賞：松永道隆（NHK広島放送局放送部副部長）（『ゲノム編集の衝撃』の著作）、瀬川至朗（早稲田大学教授）（『科学報道の真相』の著作）、佐々木健一、高瀬雅之、丸山俊一（NHKエデュケーショナル）（『ブレイブ』の番組）


2018年

科学ジャーナリスト大賞：小松恵永（信濃[[毎日新聞]]）（連載記事『つながりなおす　依存症社会』）
科学ジャーナリスト賞：佐々木芽生（『おクジラさま』の著作）、川端裕人（『我々はなぜ我々だけなのか』の著作）、安部康之、相沢孝義（NHK報道局政経・国際番組部）（『クローズアップ現代＋』の番組）
特別賞：森裕美子


2019年

科学ジャーナリスト大賞：金沢工業大学（『世界を変えた書物展』）、森哲也、遠山哲也（NHK）（NHKスペシャル「見えないものが見える川」）
科学ジャーナリスト賞：鳥井真平（毎日新聞）（「『ハゲタカジャーナル』をめぐる報道」）、山本義隆（「近代日本一五〇年」の著作）、篠田謙一（「江戸の骨は語る」の著作）


2020年

科学ジャーナリスト大賞：なし
科学ジャーナリスト賞：小沢慧一（中日新聞記者）（新聞連載「南海トラフ８０％の内幕」）、毎日新聞「幻の科学技術立国」取材班（書籍「誰が科学を殺すのか」）、三井誠（読売新聞）（書籍「ルポ　人は科学が苦手」）
* 特別賞：NPO法人「科学映像館を支える会」


今後の展望

科学ジャーナリスト賞は、科学技術に関する信頼できる情報伝達を促進し、社会全体の科学リテラシー向上に貢献する重要な役割を果たしています。今後も、多様なメディアにおける科学ジャーナリズムの発展に貢献することが期待されます。

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