松浦雅子

松浦雅子：CMから映画、そして社会貢献へ

松浦雅子氏は、1960年石川県金沢市生まれの映画監督・脚本家です。金沢で育ち、金沢大学附属高等学校卒業後、上京。横浜国立大学教育学部を卒業しています。在学中にはシナリオセンターや松竹シナリオ研究所でシナリオを学び、大学4年生時には松竹映画『シングルガール』で脚本家としてデビューを果たしました。

大学卒業後は、東北新社CM本部に入社。CMディレクターとして活躍し、数百本ものCMを演出。数少ない女性CMディレクターとして頭角を現し、その名を広く知らしめました。CM制作の傍ら、映画脚本の執筆も続け、1995年、阿部寛さんと羽田美智子さんが主演を務めた松竹映画『人でなしの恋』で、脚本・監督としてデビュー。本作は東京国際映画祭に出品されるなど、高く評価されました。

その後、数々の映画作品を世に送り出します。代表作として、吉川ひなのさん主演のフジテレビ『デボラがライバル』、加賀美早紀さんとオダギリジョーさんが主演を務めた東宝映画『プラトニックセックス』、米倉涼子さん主演の『ダンボールハウスガール』などがあります。これらの作品において、松浦氏はスタイリッシュな映像と、繊細で共感性の高い女性心理描写を融合させた独自の作風を確立しました。

当初は、旬なアイドルを起用した作品が多かったものの、2001年からは、ミュージカルや舞台の構成・演出にも進出。2002年には、元宝塚歌劇団トップスター、真琴つばささん主演の音楽劇『コントラスト』をアートスフィアにて成功させました。さらに、音楽プロモーションビデオや短編映画の制作も積極的に行い、これらの作品においても自ら脚本を執筆しています。短編映画では、内山理名さん、深田恭子さん、平山あやさんなど、多くの著名な女優を起用しています。

松浦雅子の作品は、CMディレクターとしての経験が色濃く反映されており、スタイリッシュで洗練された映像美と、女性の心情を細やかに表現する点が特徴です。近年では、ピンクリボン活動にも積極的に参加し、乳がんと闘う実在の女性をモデルとした映画『MAYU～ココロの星』では、脚本と監督を務め、全国各地で上映会や講演会を開催しています。

教育活動にも携わり、日本芸術専門学校の講師を務めた経験を持ち、現在は跡見学園女子大学コミュニケーション文化学科の准教授として後進の指導にあたっています。

松浦雅子氏のキャリアは、CMディレクターとしての成功から映画監督、そして社会貢献へと広がりを見せています。その作品は、常に時代の感性を捉えつつ、普遍的な人間の感情を描き出し、多くの人々の心を揺さぶるものとなっています。数々の賞を受賞している脚本「イエローの森」は、シネマ100サンダンス国際賞の優秀賞を受賞しています。日本映画監督協会にも所属し、日本の映画界に大きく貢献している監督の一人です。

主な作品一覧:

劇場映画
シングルガール (1983年、共同脚本) 主演：桃井かおり
人でなしの恋 (1995年、脚本・監督) 主演：阿部寛、羽田美智子
デボラがライバル (1997年、監督) 主演：吉川ひなの、谷原章介
ダンボールハウスガール (2001年、脚本・監督) 主演：米倉涼子
プラトニックセックス (2001年、監督) 主演：加賀美早紀、オダギリジョー
MAYU～ココロの星 (2007年、脚本・監督) 主演：平山あや

その他の作品
数百本以上のCM演出 (NTT、docomo、グリコなど大手企業多数)
短編映画「いつかそうであったような」(脚本・監督) 主演：内山理名
短編映画「時間の国のアリス」(脚本・監督) 主演：深田恭子
短編映画「あなたへの月」(脚本・監督) 主演：平山あや
音楽劇「コントラスト」(2002年、構成演出) 主演：真琴つばさ
ミュージカル「エディットピアフ」(2004年、原案・構成)
* TOKIO PV「Love & Peace」

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