松野氏

松野氏の系譜と歴史

松野氏（まつのし）は、日本のさまざまな氏族の一つであり、独自の系譜を持つ重要な存在です。この氏族は、地域によって異なる複数の家系を有しており、その歴史は古代から続いています。特に、松野連（まつのむらじ）系譜と下野松野氏（しもつけまつのし）、さらには大友松野氏（おおともまつのし）といった分派が存在します。

松野連系譜（姫姓）

松野連は古代の日本において名を馳せた豪族であり、彼らの系譜によれば、呉の王である夫差の子孫にあたります。文献『中興系図』によると、夫差の子である公子忌が日本に渡り、筑紫国に住み着いたといいます。その後、彼の子孫である松野連が姫姓から松野姓へと改名し、筑紫国夜須郡の松野に定住したのが始まりとされています。これに関する系譜は国立国会図書館や静嘉堂文庫に所蔵されています。

松野連は、熊襲の長である川上梟帥（とりいしのかもん）の名や、倭の五王と呼ばれる讃・珍・済・興・武の五人の名称が連なっている点が特徴的です。北部九州には松野氏を祖とするさまざまな家系が存在し、それぞれが地域社会で重要な役割を果たしてきました。

下野松野氏（藤原姓）

下野松野氏は藤原姓を名乗り、宇都宮氏族の一部である横田氏の支流です。在世の鎌倉時代中期には、宇都宮頼綱の子である頼業が横田を名乗り、横田氏の嫡流を継承しました。その後、頼業の弟である義業が下野国那須郡松野郷を所領し、これを家号としました。彼らが城を所有していた際には、松野北城や南城と称された城が存在しましたが、1602年に松野氏が出羽国へ移住した際にこれらの城は廃城となりました。

宗家は曹洞宗の松林寺を菩提寺に持ち、氏神として二荒山神社を崇めました。また、家紋は左三巴や五三桐、扇に月など多様です。下野松野氏は、下野宇都宮氏の影の存在となり、戦国時代のさまざまな戦いに参加するなど、重要な役割を果たしました。特に、永禄10年の大崖山の戦いや、天正12年の松野城の戦いでは、宇都宮氏の指揮下で戦っています。

大友松野氏（源姓）

大友松野氏は、清和源氏を祖とする大友氏の支流です。『大友系図』によれば、貞親という人物の子、親義（松野太郎）が初めて松野姓を名乗ったのがその始まりとされています。後に大友義統の弟である親盛が松野姓を称し、細川忠興に仕えることとなりました。この系譜は、代々肥後に住み続け、松野姓を保持しました。

大友松野氏は、中世の日本の歴史において、細川家に仕え続けた重要な存在であり、彼らの血脈は現在にまで引き継がれています。特に、親盛の次兄である親家は、改易後に利根川姓を名乗ることになりますが、彼の子孫も松野姓を用いることになります。

まとめ

松野氏は、古代から近世にかけて多様な系譜を持つ氏族であり、その存在は日本の歴史において重要な役割を果たしてきました。異なる地域において、それぞれの松野氏がどのような影響を与えてきたのかを考察することは、歴史を理解する上で非常に興味深い題材です。

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