宇都宮頼綱

宇都宮頼綱に関する概要

宇都宮頼綱（うつのみや よりつな）は、平安時代末から鎌倉時代にかけて活躍した武士および歌人で、藤原姓宇都宮氏の5代目当主です。彼は伊予国の守護を歴任し、歌人としても名を馳せ、藤原定家との強い関係を築きながら宇都宮歌壇を育てました。これは京都、鎌倉と並ぶ三大歌壇の一つに数えられています。

生涯の概要

幼少期からの経歴

治承2年（1178年）頃、宇都宮業綱の子として生まれた頼綱は、源頼朝の乳母である寒河尼に育てられ、彼女の夫である小山政光の猶子として成長しました。文治5年（1189年）の奥州合戦では、紀清両党を従え従軍し、顕著な功績を残しました。また、建久5年（1194年）には北条義時の嫡男金剛の元服の儀に参加したことも記録されています。

公田掠領騒動

1194年5月、頼綱の祖父宇都宮朝綱が下野国司から公田掠領について訴えられ、朝廷は彼を豊後国国府の預かりとなる裁定を下しました。この騒動は、源頼朝がその権限を制約されている時期に起こり、頼綱たち関東の武士は実質的には頼朝の勢力に従う形で行動していました。頼朝の働きかけによって、頼綱は早期に赦免され、そして波乱を経て宇都宮家を継承しました。

牧氏の変

元久2年（1205年）、頼綱は畠山重忠の乱に北条氏側につきますが、その後、義理の祖母である牧の方が北条時政と共に将軍の暗殺を計画したため、頼綱にも謀反の疑いが掛けられました。彼はこの告発を打破するため、鎌倉に向かい出家することを決意します。彼の出家後は、弟宇都宮朝業が家を代表して幕府に出仕しました。

出家後の活動

出家後の頼綱は法然の弟子である証空に師事し、鎌倉政庁の許しを得て各種の修復業務なども手掛けました。彼は京や宇都宮に念仏堂を建立し、後世に渡ってその影響を与えました。また、彼の家族は文化人との交流が盛んなことでも知られています。特に藤原定家との親交が深く、彼に娘を嫁がせたことで、東国の政情に対する助言を行う役割も果たしました。

死去と遺言

正元元年（1259年）、頼綱は京にて82歳で亡くなり、彼の遺志により西山の寺に埋葬されました。彼に従う形で、宇都宮には彼の遺族や子孫たちが歌壇を盛り上げ、多くの歌人を輩出しました。

歌人としての頼綱

頼綱は母方や祖母から受け継いだ歌の才能をもとに、宇都宮歌壇を育て上げました。彼は藤原定家との交流を深め、その工夫を凝らした歌作りに励みました。頼綱自身の和歌は数多くの勅撰集に収められ、宇都宮歌壇の基盤を築いたと言えます。彼が編纂に関与した『新○和歌集』には、宇都宮一族や著名な歌人たちによる875首が収められ、宇都宮の文化的交流の深さを示しています。また、頼綱の歌は《新勅撰和歌集》や《続後撰和歌集》等、さまざまな和歌集に収録され、今に伝えられています。

まとめ

宇都宮頼綱は、武士としてだけでなく、文化人としても多大な影響を持った人物です。その生涯や歌の業績は、彼が活躍した時代の武士のあり方や、文化の交流を考える上で非常に重要な事例として後世に伝承されています。彼の存在は、宇都宮市の歴史や文化にとって欠かせないものとなっております。

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