松野良寅

松野良寅（まつの よしとら、1926年 - 2012年3月12日）は、日本の著名な英学者です。日本英学史学会の会長、そして我妻栄記念館の館長を務め、その業績を讃えられ豊田實賞や米沢市功績章を受章しました。

山形県出身の松野良寅は、米沢中学から海軍兵学校へ進みました。海兵75期として在学中に第二次世界大戦終結を迎え、卒業証書を授与されています。戦後は東北大学法文学部英文科を卒業し、母校の教員や山形県教育庁主事などを務めました。1967年（昭和42年）から山形大学工業短期大学部助教授、同教養部教授、1992年（平成4年）から東北芸術工科大学教授を歴任しました。

英学者としての松野良寅は、『興譲館世紀』で第1回豊田實賞を受賞。また日本英学史学会会長を務めました。その研究は幅広く、米沢を中心とした地域の英学史研究に大きく貢献しました。特に、米沢における洋学の系譜を明らかにする研究は高く評価されています。また、『米沢市史』編纂委員会委員長をつとめ、郷里の先人たちの事績をめぐる著作を刊行し、地域文化の掘り起こしにも尽力しました。

主な著書として、『東北の長崎 - 米沢洋学の系譜』、『米沢の英学』、『会津の英学』、『遠い潮騒 - 米沢海軍の系譜と追憶』、『我妻栄 - 人と時代』、『海は白髪なれど - 奥羽の海軍』などがあります。これらの著作を通して、松野良寅は地域に根ざした視点から、日本の英学史、郷土史に新たな光を当てました。

また、多数の論文を発表し、学術界に貢献しました。例えば、『西洋学の東漸と日本』や『薩の海軍と米沢』、『渡辺洪基と米沢の英学』、『Charles Henry Dallasと米沢の英学』など、多岐にわたるテーマに取り組んでいます。これらの論文は、英学史研究に新たな視点をもたらし、研究の深化に貢献しました。

松野良寅の研究は、単なる学術的な探求に留まらず、地域文化の再発見と継承に大きく貢献しました。その功績は、故郷である米沢市、そして日本の学術界において長く記憶されることでしょう。

松野良寅は2012年3月12日に亡くなりましたが、その研究成果は今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索